シカゴ・ブルズを題材にした『ラスト・ダンス』が超傑作だったのでこちらも鑑賞。
『ラスト・ダンス』はジョーダン在籍時のブルズ最後の一年を核としながらも、ジョーダンをはじめとした選手達のバックグラウンド、球団と選手の軋轢、過去のブルズの戦いぶりなど様々な題材に焦点を当て、ブルズというチームを立体的に見せる作りになっていた。一方、本作は90分強と非常に短い時間で4年間の物語を描くため、アメリカ代表チームの活動にのみ焦点を当て、選手達のバックグラウンドやNBAでの活躍、他国のチームの様子などは完全にオミットしている。
これによって、完璧だった『ラスト・ダンス』と比べて多少の物足りなさは感じるものの、その分リディーム・チームの物語をじっくりと味わえるようになっている。
正直、映画にするほど何か特別なことが起きているわけではないように思うのだが、起承転結がしっかりしているので何か良いものを見たかのような感覚を覚えた。後半にコービー・ブライアントが入っている展開はとても映画らしいし、最後のスペインとの決勝戦のゲームも映画のクライマックスに相応しい素晴らしくスリリングな内容になっていた。
2023年のW杯でアメリカは再び3位となったが、2024年のパリオリンピックではまたリディーム・チームのようなスタープレイヤー達のチームを見ることができるのだろうか。来年のオリンピックに備えるという意味でも、今見ておいて損はない作品だと思う。