ノラネコの呑んで観るシネマ

銀河鉄道の父のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

銀河鉄道の父(2023年製作の映画)
4.3
宮沢賢治の生涯を、役所広司演じる父親の政次郎目線で描いた作品。
賢治は知ってても、質屋のお父さんの話って面白いの?と思ったが、成島出と坂口理子だから作りが非常に手堅い。
超過保護な子供時代から始まって、賢治がだんだん面倒臭い子になっていって、それなりに確執も抱える。
でもお父さんは根本の部分ではブレない。
軸となるのは賢治と政次郎、そして最愛の妹のトシの三人なんだけど、お母さんや他の弟妹も含めて、お互いをリスペクトし合っている宮沢家の関係性が素敵だ。
列車のシーンが全体の「括弧」になるんだけど、多分もっと賢治の作品の引用をしたいという誘惑はあったと思う。
しかし、これはあくまでも父の目から見た子の話だから、必要最低限に抑えていて、その分効果的な使われ方をしていたと思う。
役所広司や菅田将暉がいいのは当然だが、森七菜が妹キャラにハマりまくる。
ちょっと方言が聴き取りにくいが、なかなかに心を打つ秀作だった。
観終わると「春と修羅」読み直したくなったよ。