horahuki

恐怖の振子のhorahukiのレビュー・感想・評価

恐怖の振子(1961年製作の映画)
3.8
スペイン城主に嫁いだ妹が死んだ!
その死は不審なことだらけ。
「本当のこと教えろや!」と城に怒鳴り込みにきた兄が遭遇する奇怪な出来事を描いたゴシックホラー。

DVDとかVHSとか買うだけで満足しちゃって見てないやつが溢れてきたので、ちょっとずつ消化していこうと思います。まずはだいぶ前にDVDボックス買ったこれから♫

あらすじ…
妹の死の原因を知りたくて嫁ぎ先を訪ねてきた主人公。そこには亡き妹の夫である城主とその妹、使用人2人がいた。城主から死因を聞くも要領を得ず、不信感が強まるばかり。そこに死の診断をした医師がやってくる。皆の話によると、妹は屋敷にまつわる恐怖にあてられ死んだという。そして城主は埋葬の際にまだ命があったのではと考えており、生きたまま埋葬してしまった罪悪感に苛まれていたが…。

B級界の帝王として名を馳せるコーマン監督ですが、本作では確かな演出力を発揮しており、マシスンの脚本と合わさって傑作に仕上がってるように思います。冒頭、引いたカメラによって空間を大きく使った地下に降りていくシーンなんかは屋敷の荘厳で異様な雰囲気をうまく引き出してるし、色彩をガラッと変えた回想シーンなんかも良い。

そして何よりタイトルにもなってる振子の演出。台の上で縛り付けられた男の上で巨大な刃の振子が左右にガタンガタンと揺れ動く場面。他の余計な音を完全に廃し、その規則正しく無慈悲な音を効果的に利用した素晴らしい演出。『SAW』のどれかに同じようなシーンがありましたが、本作は恐怖演出という点では圧倒的。残虐さはあちらの方が上ですけどね。

崖上に立つ屋敷の外観やその内装、衣装のゴシックな雰囲気も良い。極め付けは屋敷の地下にある拷問室なのですが、様々な器具の中でも目を引くのがやはり巨大振子。どうやら実際に鉄製のものを利用したようで、縛り付けられた男のヒヤヒヤ顔はリアルな反応だったのかも(笑)美術担当が『襲い狂う呪い』では監督も務めたダニエルホラーなのですが、安いものを豪華に見せるセンスはさすがです。

マリオバーヴァの大傑作『血ぬられた墓標』でコーマンが目をつけたバーバラスティールを重要な役どころに起き、有名なあのシーンのオマージュを取り入れるあたりもホラー好きには嬉しい限り。ポーの『早すぎた埋葬』の要素を取り入れてるとはいえバーバラスティールがあんなことになるのはやはり『血ぬられた墓標』を想起させますね。

そんな感じで面白かったです!B級なはずなのですが、かなりお金かかってそうに思えるほど豪華さに溢れた作品でした。そう思わせるあたりがさすがコーマン監督ですね!
horahuki

horahuki