このレビューはネタバレを含みます
隠れた超名作だった…!
主人公のケイリーは"クリスマスの呪い"を信じている。嫌な思い出しかないクリスマスが大嫌い。
そんなケイリー親子が越してきた家の隣にはオットーという老人が住んでいた。町で発言力を持つネリーによれば「彼は元ナチスの危険人物、町から追い出したいと考えている。」と、いう。
ある時ケイリーは悪ガキに庭を荒らされたオットーの手助けをする。以来どこか祖父に似た雰囲気のオットーに親近感を覚え、家族ぐるみでの交流をするように。
クリスマスも近づくある日、ケイリーの元にサンタボックスという不思議な箱が届いた。欲しいものを書いた紙を箱に戻し玄関に置いておけば、願いが叶うというのだ。優しいケイリーは母親のために願い事を使うのだが…?
まずケイリーとお母さんが可愛い。ジョークを言い合いながら仲良く暮らしている。
オットーはユダヤ系であるが、それにも関わらずクリスマスを祝っていることを少し不思議に思う親子。日本人だとピンと来にくいけどそもそも宗教が違うのね。
なぜオットーがクリスマスを祝うのか後々判明する。サンタボックスの送り主やサンタの正体も。ただそことは別に彼の考え方や培われた人柄にケイリーが懐くのもよくわかる。
ケイリー以外の登場人物もみんな個性的で魅力的なのもよい点。
ケイリーはとても良い子だが、年相応に弱いところもある。リサはザ・嫌味なスクールカースト上位のお嬢様だけど、取り巻きはママが買収していただけと判明するし実は孤独…。
スーと3人で話している場面ではリサが相変わらず憎まれ口を叩くものの、みんな案外仲良くなれそうな雰囲気なのに〜って感じる好きなシーンだった。
実験でリサを笑いものにして仕返しをしたケイリーとスーだったけれど、湧き出るような「…思ってた気持ちと違う」って表情がとても良かったな。
オットーが優しく「恥ずかしい目に遭ったリサを誰が守ってくれたんだ、リサは人気者なのに変じゃないか?」と諭すのもとても良かった。リサはあんなだけど全部ママの影響なんだよね…。オットーは子供の頃からリサを知ってるし、それもわかっていたのだと思う。
サンタボックスの心優しい使い道
どれも良かったけれど新しい犬だけはちょっと気になった。(アメリカ映画でありがちではあるけど生き物で命だからなぁ)
もうオチはわかるんです
分かってるんですけどね、良いんですよ。
どうしてサンタになったのか語られるシーン、そしてオットーとの病室での会話、そしてラストてとても良かった。サンタ帽かぶせられてるオットー可愛かった。
花が荒らされた所はほんとこれ、とんでもない犯罪だぞ!って憤りを感じたけど、あの悪ガキどもちゃんと謝ってるといいな…。あとネリーもね!パパの忠告聞いてちゃんと改心して節約しろーい!契約書返してたしちょっとは反省したのかな。
その身を削ってもサンタボックスを贈り続けたオットー、戦争中のシーンは冒頭と終盤の僅かな時間しか描かれないけれど、壮絶なものだったのでしょう。
家族まで贈ってたのすごいな。
自分が受けた優しさのお返し、何倍にもしていたわけですね。
それにしてもこんな良い映画を知らなかったとは…
サンタボックスは町のみんなで続けてほしい。
これからはオットーだけが身を削らない楽しいクリスマスをおくってほしいな。そんなラストで安心した。