◆あらすじ◆
ソフィはビデオの映像から20年前、父のカラムとともに過ごしたリゾート地での楽しい日々を思い出す。そこには当時は分からなかった父の思いがあった。
◆感想◆
11歳のソフィが普段は離れて暮らす父のカラムとリゾート地で楽しい日々を過ごす様子を描く作品となっており、当時の父と同じ歳になったソフィの視点で語られる本作は、幼いソフィとカラムの生き生きとした姿と共にカラムのどこか寂しそうな心情が見え隠れして、それが興味を惹くものになっていました。
11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は天真爛漫で太陽が良く似合う明るい少女であるとともに少しずつ大人に近づいていく姿も見せていて、とても愛らしくて観ていて飽きることがなかったです。父のカラムとも親友のような関係で隔たりのない姿があって、ソフィはとても楽しそうでした。
一方、父のカラム(ポール・メスカル)はソフィと良好な関係を築いていて、一見すると何一つ問題が無いように見えましたが、最初から腕にギプスをはめていたり、妻との電話で定型的な相槌をうったりと、僅かに不穏な雰囲気を匂わせる部分があって、彼の心情が読めませんでした。ソフィといる間は常に笑顔を称えているカラムでしたが、それはそれで不自然なようにも思えて不思議なキャラクターだったように思います。
本作は31歳のソフィの視点で描かれるのですが、現在のソフィについて描かれる部分は僅かなので、現在のソフィの心情やカラムへの思いを理解しにくい部分があって、何気なく観ていると親子の楽しい思い出で終わってしまいそうでした。カラムに関しては観ている側の解釈にゆだねる部分が多々あってその部分でも理解が難しい作品だと思いました。
11歳のソフィの太陽のような明るさと父カラムの目いっぱいのソフィへの愛情が詰まった作品のように感じて、面白かったです。カラムについて理解しきれていないですが、ソフィに対して自身の中の悩みや苦しみを見せないようにしていたように思います。
鑑賞日:2025年5月11日
鑑賞方法:Amazon Prime Video