そのじつ

イグジステンズのそのじつのレビュー・感想・評価

イグジステンズ(1999年製作の映画)
4.0
公開時、ワクワクして観に行き、狐につままれたような顔で映画館を出た観客のひとりです。
『ビデオドローム』を観たので21年ぶりに再鑑賞。
1999年の映画だけど古く感じなかったです。
2021年のゲーム状況はまさにこいういう感じなのでは?
見知らぬ他人と現実よりも緊密な世界で関わり合う。そういうオンラインゲームが主流になりつつある。
『ビデオドローム』の他者にハッキングされる男のように、近い未来現実になるであろう観念が明確なビジュアルで示される、クローネンバーグのアツくてクールな味わいが良い。

あとクリーチャー愛!
有機的機械、毒々しい生体、死と近接する快楽などなど中毒性の高いガジェットであふれていて飽きさせない。
同じ1999年に『マトリックス』が公開されているが、そこへの影響が語られている『ニューロマンサー』をクローネンバーグが映画化したなら・・と『イグジステンズ』から妄想が広がってしまう。

それにしても!
ジュード・ロウの美しさはどうだ!
ゲームキャラクターにふさわしい容貌だ。
同じく1999年公開の『リプリー』も見て、すっかり彼の美貌の虜になった人間のひとりです。
その時醸成された乙女心がいまだに彼を「ジュード様」と呼ばせています。薄毛になってもステキです…

閑話休題。ジュード演じるこのパイクル役は、なんとなくウブな雰囲気をただよわせていて萌える。
手付かずの背中に、女に命じられて穴を穿たれるのだよ。

その女アレグラ・ゲラーを演じるジェニファー・ジェイソン・リーの得体の知れない美しさにも惹かれる。
登場時の不思議なヘアスタイル、カリスマがかっててステキ☆

『マトリックス』もうなじに巨大な金属のプラグを差し込むが、こちらは有機的な肉色のプラグを腰のソケットにねじ込む。エロティックな、あからさまな暗喩に満ちたシロモノだ。

うがった見方をしなくても、クローネンバーグはエロティックで味わい深いシーンをつなげて映画を作っているので見応えは十分。
突然変異体たちの無残に解体された姿を映し出す工場のシーンもかなりナイス。ぐちゃぐちゃと生臭い匂いまで漂ってきそうな音も慣れるとクセになる。
愛撫のように操作する、震え身悶えするゲームポッドもおもしろい。おとなのおもちゃ屋さんに並んでいても違和感ない。でもちょっと触ってみたくなる。

しかし中国人ウエイターは世界のナベアツに似ていた・・ナツい・・。
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