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イグジステンズのRのレビュー・感想・評価

イグジステンズ(1999年製作の映画)
4.6
6年ぶりに見てみた! これで5回目となります。体感時間50分。もう倍あっても全然楽しめそう。ハワードショアの妖しいスコアで幕開けるクローネンバーグ映画、って時点で既にふつふつと興奮。とある教会にゲーマー達が集まって、カリスマゲームデザイナーのアレグラゲラーが開発した新作ゲーム『イグジステンズ』の試作会が開かれている。ゲーム機は両生類の卵から開発して作られたというポッド状のモノ。脊髄に開けたバイオポートという穴に、アンビコードというケーブルでポッドを繋いで、脳内バーチャルリアリティでゲームを楽しむというものらしい。さて、親ポッドとそれぞれのプレイヤーの子ポッドを繋いで、いよいよプレイ開始、ってとこで、とつぜん謎のテロリストが教会に入ってきて、アレグラゲラーを殺害しようとする。へっぴり腰の警備員パイクルは撃たれた彼女を連れて会場から逃げ出し、安全な場所に着くと、アレグラはせっかく完成させたイグジステンズがバグってないか確認するため、パイクルとプレイしようと試みるのであるが……という流れ。まず、ポッドそのものの様子が面白くて、有機生命体のかたまりが人間の発するエネルギーによってブヨブヨ動いて仮想現実を人間に見せてる様とか、ケーブルのゴムっぽい感じとか、一般的に近未来として想起される無機質で直線的なイメージと真反対の異様なグロテスキュートさ。さすがクローネンバーグ。腰に開いてるバイオポートはまるで肛門のよう、潤滑ローションを塗ってぷるぷるなアンビコードを挿す様子は、いやもうそれアナルビーズやん。何回目かにプレーするときなどは、舌先でポートをチロチロ舐めてから差し込んでたりしてます。何てセクシャル! そして、いよいよバーチャルリアリティの世界へ突入。こっからさらにアンフィビアンにグロテスク! 弾力性の高そうな謎のプルプル生物を包丁で解体する様は、粘膜質なぐちょぐちょの極み、意味不明な胞子のシャワーなどなど、いろいろ最高。で、イグジステンズは完成度高すぎなバーチャルリアリティなので、だんだん現実とゲーム世界の境界線が分かりにくくなっていく。ジワジワそっちの世界にのめり込み、現実に戻ったのか戻ってないのか不明瞭になる。最終的には、人間の現実認識の危うさが大爆発! ちょースリリング! あと、やっぱゲームなので、ゲームのストーリーを進行させるために、自由意志でない動きをオートマティックにさせられてしまう。これがかなり不気味なんやけど、よく考えてみると、一般的に世界にはオートパイロットで日々マリオネット的に作動してる人がめちゃめちゃ多い。このへんはそういう寓話性を持たせてるのかな、と思った。しかも我々の生きてる世界そのものがバーチャルリアリティでないと誰が言えるのか、とかってなると、これはもうカント様に相談するしかないのであります。ボク個人としては現世がバーチャルリアリティって発想ほどアブナイものはないな、と思う。いま自分の経験してる世界で暮らしてる人たちが、ぜんぶ自分の頭のなかにしかいないって考え始めたら、それはヤバすぎる。人間は自分の主観を通してしか物事を見ることができないのは確かであるが、それはあくまで物事の意味づけの部分であって、その物事自体の存在・非存在を決定するものではないとボクは思っている。なので、本作に現実主義者っていう人たちがいるってのも、納得納得。といろいろ考えさせられる面もあり。まぁ、それは置いといて。主演のジェニファージェーソンリーのアクの強いネトっとした魅力は本作にぴったりやし、清涼なジュードローはまったくボンクラに見えないけど、恐ろしいほど美男絶頂期なので最高に目の保養。ジュード、頑張ってアメリカ訛りで喋ってるけどところどころイギリスっぽいとこもあって、やっぱ完璧にコピるのは難しいんやろなー、とか思ってたら、最後にぬあああああーーーーそういった理由なのだねーーーー!!! いやー、ほんとに何度見ても面白い。ヌルヌルプルプルピチピチグチョグチョ!!! 好き!!!
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