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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のBATIのレビュー・感想・評価

4.8
東京国際映画祭にて。初見です。とてもよかった。大人になってから観ないと分からなかったかも。これだけおかしくて笑わされるのに終盤にはしんみりした。お洒落な映画だなぁと思ったらやっぱり最後の方で「恐怖分子」みたいになって驚きました。黒沢清も同時代で同じようなことしてるシンクロニシティも感じたり。

ロケーション計算し尽くしたカメラワークも美しく、「壁を越える」「扉」「車」というものもいちいち人物たちの心象を表していてそこだけでも耽溺してしまう。

一国二制度というものの圧力ありきの映画、それは他のエドワード・ヤンの作品もそうなんですが、キラキラした表層の水面下には自由になれない人間たちの歯痒さが渦巻いているのを感じます。

4Kレストア本当に素晴らしくて、このレストアじゃないと描ききれない印影は確かにあるので、私は監督の意図が分からなかったかもしれない。このタイミングで観れてよかったです。

フィルムの情報量の豊かさと込められた含蓄。私が「映画」と思っているものがここにあるのだと再認できてしまって、ここから先新しい映画への食指が鈍りそうな予感がしてしまっています。

これは家で夜中に家で忘れた頃に観れるようになるといいな。
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