【豊かさを手に入れた後の台北】
エドワード・ヤン監督の原題『獨立時代』の4Kリストア版
〈あらすじ〉
台北に住むチチの職場は、大学時代の親友モーリーの経営するカルチャー・ビジネス会社。彼女にはミンという同じく大学の同級生だった恋人がいるが、最近あまりうまくいっていない。そんな折、もう一人の同級生で盗作問題が噴出している舞台演出家のバーディが、モーリーに助けを求めて来て…。
〈所感〉
エドワード・ヤン監督作品初鑑賞。第一印象は兎に角情報量が多いこと、そして台北の街が非常に幻想的なまでに美しく映えていたことが挙げられる。台湾が独立を遂げて、経済成長の真っ只中にいる中で、社会の中心として歯車を回す若者達にスポットを当てた群像劇。彼らの仕事にも恋愛にも全力投球!といったスタンスはトレンディドラマで見る日本の若者のようで、異国なのにそんな時代もあったのね、と懐かしく感じられた。若者故の意地の張り合い、慢心や奢り、疑心、背伸び、野心、そういった色々な要因が恋愛に齎す影響というのがここまで鮮明に映し出されるともはや清々しい。ただ、そんな彼らを好きになれるかといったら全くそんなことない。それぞれ独自のアイデンティティーを確立しているものの、全く洗練されてない野暮ったい感じ。ちょっとダサくて痛い。でも、それでこそ栄光のヤングジェネレーションなんですな。男女のプラトニック・ラブというより、チチとモーリーを中心としたフィリア(友愛)に主眼を置いている作品に感じた。