このレビューはネタバレを含みます
2024.07.24
久しぶりのMCU作品。
ですが、新ヒーローでもこれまでにMCUに出てきたヒーロー作品の続編でもなく、ついにデッドプールがMCUに合流。
しかも3作品目にしてついにウルヴァリンも合流と、今までのMCUの流れからすると全く思いもよらないクロスオーバー。
デッドプールの過去2作品は鑑賞済で、ウルヴァリンの方は『ZERO』をガッツリと『SAMURAI』を少しだけで、『ローガン』は未鑑賞、さらに『X-MEN』シリーズも20世紀フォックス製作ということもあってちょっとぐらいしか知らないような状態。
それでも『デッドプール2』や『ドクター・ストレンジ MoM』もちゃんと楽しめたので、きっと大丈夫だろうということで今回鑑賞です。
日本での公開が世界最速ということで、どんなストーリーになるのか全然分からないことですし公開日初回のIMAXにて。
今作のタイトルを聞いた時、ウルヴァリンことローガンの最期について知っている人は不安を覚えたことだろう、“第4の壁”を超えて語りかけるデッドプール/ウェイド・ウィルソンは、彼の不死身の能力を信じて墓を荒らしていた。
しかしそこに遺っていたのはアダマンチウムの骨格のみ。
そこに現れた時間変異取締局(TVA)の戦闘員に対し、ローガンの骨格を使って戦い始めるウェイド。
その戦いの理由は彼の身に起きた少し前の出来事に遡る。
ファミリーによる自身の誕生日パーティー中、突如TVAによって連れ去られたウェイド。
連れ去られた先で出会ったTVAのパラドックスから聞かされたのは、デッドプールが存在するアース10005からアンカーであるローガンが消えたことで、その時間軸が消滅の危機にあるという事実だった。
パラドックスからタイムパッドを奪ったウェイドはローガンの墓に出るも、上述の通り彼の死は既に決まっていた。
そこでウェイドは、他のマルチバースからローガンを探し出すことに。
しかし、様々なマルチバースを巡っても、これぞというローガンには出会えない。
ようやく会えたウルヴァリンであるローガンは、酒に溺れていたものの、服の下にヒーローコスチュームを着ていたことで、ウェイドは彼をTVAに連れ帰る。
そんなローガンの姿を見たパラドックスは表情を曇らせ、彼の目的が開発中のタイムリッパーで時間を加速させ、アンカーのいなくなったアース10005を効率的に剪定しようとしていたことだと判明し、ウェイドとローガンは神聖時間軸にとって邪魔な存在を隔離する空間“虚無”へと飛ばされてしまう。
突然自分を連れ去ったウェイドに対して怒りを露わにしたローガンは彼に攻撃を開始。
そこに現れたのは、キャプテン・アメリカと同じ顔をしたヒューマン・トーチことジョニーだった。
さらに現れた謎の集団により、“虚無”に拠点を構えるカサンドラの元へ連れ去られるウェイドたち。
ウェイドたちを“虚無”にいるアライオスで始末しようとするカサンドラの元から逃げ出すと、かつて時間軸から追放されたヒーローたちと手を組み、世界の危機を救うために立ち上がる。
これは、もう、、MCUっていうか20世紀フォックス・ユニバース作品!
MCUにだけこだわって他の作品群や過去の作品を見てこなかったことがこんなに悔やまれるとは。
エレクトラ以外のガンビット、ブレイド、ローラについてはなんとなくの存在や名前は知っていたものの、それはそれで置いてけぼりを喰らってしまい、MCUの作品数がどんなに増えてもちゃんと追ってなるべく置いてけぼりを喰らわないようにしてきましたが、まさかここまでガッツリと20世紀フォックスの作品たちとクロスオーバーするとは思いもしなかったので、120%楽しめたかと言われるとそうでもないのですが、そうは言っても今作の主演はデッドプール、全く楽しめないというのはありえない話なので、ちゃんと楽しめました。
『ロキ』のシーズン1をちゃんと見て神聖時間軸やTVAに関することだけでも理解できたことが何よりの救いです。
予告編の時点から出ていた廃墟のような遺物のようなものが、まさか20世紀フォックスのロゴそのものだなんて思わないじゃないですかぁ〜。
しかしそうは言ってももう一人のメインがウルヴァリンとなると、『ZERO』の視聴のみでは彼のヒーローとしての後悔やプライドについて深く理解することができなかったのもまた事実。
せめて『X-MEN』シリーズだけでもちゃんと見ておくべきでした。
ウルヴァリンとしてのオリジンだけ知っていても、過程も結末も知らないもんだからコスチュームを着ていてもほぉ〜アツいアツいだけで、肝心のキャラクターに関わるところまで理解が及ばなかったこともまた悔やまれるばかりです。
しかしそれでも、終盤の肝心の場面で、予告編やそれまでの場面には全く出てこなかったマスクオン状態まで観られるのだから、今作はやはり一見の価値あり。
『デッドプール』シリーズといえば他の作品では出せない、マジでなんでもありヒーローなところですが、それは今作でも通常運転でしたね。
問答無用なゴア描写、どんなシリアスな場面でも止まらない軽口、わけわかんないぐらい軽く超えてくる“第4の壁”と、相変わらずのデッドプールっぷりに安心感と、予告編で言われていた“普通のヒーロー映画”にはない魅力が溢れていました。
しかし一方で難しいのがヒーローといえばのスーパーパワーが、デッドプールにとっては不死身であることと驚異的な身体能力のみということ。
そこだけ切り取ると同じようなヒーローもいますし、それがデッドプールの魅力というところもありますが、他のヒーローにはある高潔な正義感は今ひとつ足りていないというところもやはりありますね。
その不足分が、今作ではウルヴァリンとのやりとりや他の20世紀フォックスヒーローに向けたものに振り切っていたので、単体のヒーロー映画、『デッドプール』シリーズの3作目として観ると十分だったかと言われるとそうでもないのかなというのが正直なところ。
MCU作品群の中の一作品として観ると、インフィニティ・サーガが終わり、マルチバース・サーガへの転換も順調とは言えず、でも出演ヒーローの数は増やしていきたいという、マーベル・スタジオなりの転換点となる作品としての今作だったのかなと思います。
これまでの作品でもマルチバースの存在や神聖時間軸の存在を示してきていましたが、ドラマ成分を優先し過ぎるとどうしても出演が唐突だったりカタルシスが発揮されなかったりと、なかなか難しいところもあったのかもしれません。
しかし今作ができたことによって、そのへんのしがらみも全部ノリで解決できること、MCUができる前に映画が製作されたマーベルヒーローも置いてくことなく今後の展開にちゃんと活かしていくんだぞという気概が感じ取れました。
終盤のまさに「山場」は、『デッドプール&ウルヴァリン』vsデッドプールの変異体軍団という、デッドプールだからできる、デッドプールにしかできない場面。
これまでのMCU作品群にあったヒーローvsヴィラン軍団といえば、クリーチャーデザインだったりロボット軍団だったりと、あくまで全年齢を対象としたものでしたが、ヒーローvsヒーローでゴア描写たっぷりに戦うというのはやはり“普通のヒーロー映画”じゃないからこそ実現した場面でしたね。
いやーここまでの何でもアリっぷりを見せられてしまうと、いつか関連作品を改めて全部見た上で、今作に込められたカタルシスを心いくまで堪能したいものですね。