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ラ・ハウリアのtdswordsworksのレビュー・感想・評価

ラ・ハウリア(2022年製作の映画)
3.0
抑圧されて生きる15歳前後の少年たちは、自分の思いを吐露するための言葉すら奪われている。大人も少年たちも「腐っている」けど、彼らの中に毒味は感じない。腐っていても、美しい木々の世界に煌めいている。
序盤から中盤にかけては物語が動かないが、むしろ物語を動かせない者たちを描いているのだと思う。だからこそ急展開してから森の中を彷徨う場面が際立つ。フロアの中でずっと瞬きしない主人公の瞳が美しかった。なかなか自分の思いを言葉にしなかった彼が、最後に「愛してる」と別れを告げるのはしびれた。
目新しさはないが、見えにくいものを丁寧に描こうとした佳作。
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