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イタリア旅行のmasayaanのレビュー・感想・評価

イタリア旅行(1953年製作の映画)
3.5
バザンの映画本を読んだらフェリーニ、フェリーニ言う前にロッセリーニくらいちゃんと観た方が良い気がしてきたので『無防備都市』以外を観てみるプロジェクト、その4。

ネオレアリズモの終焉を象徴する作品に位置付けられ、当時のイタリア国内の批評家に酷評されるもフランスで「発見」され、また後世へも確実に継承されることとなった一作。ある種のロードムービーとも言えるか。当然、バザンは擁護派であります。

前にマークした『ストロンボリ』に比べれば詩情があり(とは言え、題材となっているのは倦怠期を迎えた夫婦のすれ違いなのだが)、画面の構図も凝っている。女性の描き方についても抑制があり、「こういうモチーフならフェリーニの方が数十倍は上だよなあ」と思いつつもラストは素晴らしかった。夫婦の危機を淡々と描き、いよいよ離婚が決まったというところでカメラは路上に戻るのである。町は心象風景であることをやめて、二人を具体的に取り囲む。奇跡を祝う熱狂的なパレードとおびただしい群衆の渦に巻き込まれ、パレードの趣旨とは全く異なる次元で二人は個人的な祝福と出会うのだ。

劇場で見逃していた作品が続々と新作でレンタル入荷しているようなので、今回はここで打ち止めにします(あとは『不安』を観てみる予定でしたが)。
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