ヒノモト

第三次世界大戦のヒノモトのレビュー・感想・評価

第三次世界大戦(2022年製作の映画)
4.2
東京国際映画祭2022より、審査員特別賞受賞したイラン発作品。

すごい映画でした。
前半は第二次世界大戦を扱った映画撮影中、ヒトラー役の俳優が倒れ、エキストラで参加していた日雇い労働者が代役を演じるところまでは、チャップリンの「独裁者」のような感じになるかと思いきや、風俗で知り合った聾唖者の女性をロケセットの家に匿うところから始まる、信用や信頼が崩れていく感覚や、映画を撮影するという行為の大義名分、イランの情勢の悪さを露呈するような混沌とした展開になるのは、かなり気持ち悪かったです。

ヒトラーに扮する下りまでは笑いも起きていましたが、終盤の展開は引くほど笑えない終わり方も含めて、かなりの後味の悪さでした。

個人的には、中東映画あるあるなんですが、キャストの男性も女性もみんな同じような雰囲気に見えて、人間関係が混乱しまくったところはありました。

中盤で起きる大きな事件が、物語の都合を感じてたのですが、それを終盤で覆して、さらに混沌の淵に追い込むのは、イランの情勢の悪さからなのか、裏切られ方のショックが大きいダメージとして尾を引きました。

大げさなタイトルに見えますが、この映画が第三次世界大戦ということではなく、こういう小さな綻びや憎しみが、戦争を産み出すのではと予見させる、きっかけの映画のように感じました。

本編ショットを含むブログは以下にて
https://ameblo.jp/hinomoto-hertz/entry-12772531958.html
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