幼児誘拐殺人事件の容疑者から自白を引き出すため、犯罪パートナーとして行動を共にするおとり捜査官の姿を描いた、実話ベースのオーストラリア産クライムスリラー。
🚬"like a stalk"🚬
発掘良品。ジョエル・エドガートンとショーン・ハリスがいぶし銀の演技合戦を繰り広げる良質なスリラー。おとり捜査刑事サスペンスであり、容疑者と捜査官の心理戦を描いた心理スリラーでもあった。生気を感じない冷たく暗い世界が広がっており、両者の息遣いが聴こえるほどの静けさが緊張感を増幅した。
長髪に無精髭を生やしたショーン・ハリスの不気味さ、得体の知れなさが際立っている。彼が誘拐犯なのか否かのサスペンスが終盤まで持続する。おとり捜査官に扮するエドガートンの演技も見応えがある。仕事のパートナーとして信頼関係を築いていくにつれ、おとり捜査の対象に親近感を抱き始めるも、目の前にいる相手が本物の幼児誘拐殺人犯かもしれないと疑心暗鬼になり、心を病んでいく様が非常にリアル。
所々に挟まれるスリラー描写の切れ味も鋭い。助手席に座るショーン・ハリスが豹変して、エドガートンに声を荒げる悪夢シーンには戦慄した。
誰が容疑者で誰が捜査官なのかを曖昧にしたまま進行していく序盤が巧い。そのミステリー性に引き込まれた。
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