スローモーション男

たまねこ、たまびとのスローモーション男のレビュー・感想・評価

たまねこ、たまびと(2022年製作の映画)
4.5
 多摩川に捨てられた野良猫とそこに住むホームレスの方たちを支援する写真家の小西修を筆頭に、人間と猫の姿を追ったドキュメンタリー。

 多摩川とは縁もゆかりもないが、捨て猫たちが人間の身勝手さと優しい施しのなかで生きている姿が素晴らしかった。
 そして小西修さんの支援活動も初めて知った。
 前半は捨て猫を大切に見守るホームレスの方たちとボランティアの方々の温かい映像を観られました。また、小西さんの奥さんの手助けも見られた。猫も人間も下の方にいて蔑まされてるが、どれだけ逞しく生きているのかを見ることができました。そして、捨てたや不本意に餌をあげたならちゃんと責任を持たなければならないという覚悟をまじまじと感じた。

 それから、後半は野良猫たちを何の意味もなく虐待している人間たちのせいで、犠牲になった猫たちを助けようとする小西さんの戦いの物語になっていく。
 棒で殴ったり毒入りの餌を当てたりとあまりにも残虐な行為の数々。しかも、それは極々一般の人たちがストレス発散や嫌がらせで行っている。
 これはホームレス狩りにも同じことが言えますね。

 映画を観るとどちらが正常なのかが、一目で分かる。もうやるせないですよね…。でも、この映画を観ても何もしてあげられないのも苦しいです…。

ネコの虐待もホームレスの増加もこの先、ずっと続くでしょう。でもそれを見かけたらこの映画のことを思い出して優しく見守ることも良いのではと感じました。
そして最後のネコの姿にも感動しました。