taka

《ジャンヌ・ディエルマン》をめぐってのtakaのレビュー・感想・評価

4.0
メイキングの様でメイキングでなかった

主に監督アケルマンとジャンヌディエルマン役セイリグの議論で構成
セイリグのインタビューでは自身のフェミニズム論が語られ、室内セットでのリハは映画本編を思い出して再び鑑賞したくなる


アケルマンには明確なビジョンがあるものの上手く言葉で表現できない
ト書きはあるがセイリグはそれらの意図を全て理解した上で演技をしたいという
その主張は正しいが、偶然の即興性や想定外の可能性が失われることもあるし、逆にそれを望まない向きもあるのだろう
前衛的試みゆえ、動作やタイミングはアケルマンにしかわからないので意図を知りたくなるのは当然
双方の折れない気持ちとそれらディスカッションにより昇華されて生まれた作品であることを痛感する

やはり「ジャンヌ・ディエルマン〜」という映画の肝は日常描写
絶妙な間と所作が面白いからこそ、長尺にも関わらず惹き付けられたのだろう
(色々ツッコミながら見る楽しさもあるけど笑)


一番メイキングらしかったのはビフカツの下ごしらえシーン
皿の配置、小麦粉の量や処分方法、アルミホイルの大きさまで検証していて笑う
あの調子で例のトランスフォームするベッドのやり取りも見たかったw


実現不可能だしないものねだりも甚だしいが、スタッフ揃っての本編まるごとオーコメを聞いてみたくなる
「ソフト/クワイエット」の女子会よりこっちのほうが断然有意義なはず
同じ日に真逆の映画を観てしまったが、こちらが後で良かった😄
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