レインウォッチャー

テリファー 終わらない惨劇のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

3.5
さァーて、今週の新作映画は???
多くの映画ファンが是枝監督の『怪物』をチョイスし繊細なバイブスを受け取って繊細なアウトプットを成し遂げている中、わたしは一直線で『テリファー2』にGOです。あーどうしてもダブルチーズバーガーじゃないとヤだ、って日があるじゃあないですか。どっちかっていうと画面はずっとボルシチだけれども。

で、率直な感想としては「これは落語かもしれない」。

というのも、前作から引き続いてもうオチはわかっているわけですよ。
138分というスラッシャー映画らしからぬ尺に正気かと怯むけれど、ふたを開けてみれば結局はKILL、KILL、KILLの椀子そば。で、アート・ザ・クラウンは道理も根拠も無視で現れて、縁のない人でもただただ殺していく、と。殺し方やシチュは多少の工夫があれど、基本的には完全に孤立した「暴力」そのものを災害のように食らう様を目撃するしかない。

しかしそれでも、というよりはおそらくそれ故に、良くも悪くも「化学反応」が起こらない。同じようなイベントが続いて飽きてくるとか、積み重なってグロさ許容メーターが限界に達するようなことがなくて、毎回がそれぞれ「1」の連続なのだ。

今回はクラウンに対抗する主人公姉弟の物語が一応の箸休め的バックボーンとしてあるのだけれど、これも特に何か「思いもよらない展開」のように機能することはない。やっぱり序盤からオチはバレていると言って良いし、クラウンには出自も背景も存在しないままだから、何かを解決することもない。

しかし、なんとなくずっと観られてしまう(※1)。わかっているのに毎回同じように驚き、顔を歪め、たまに笑っちゃう。これはこれで、とっても不思議で珍しい感覚だと思う。

かつて、松本人志が『すべらない話』のコンセプトとして「誰が何度聞いても面白いもの」と掲げていた。
この『テリファー』シリーズはこれに近い境地にいるのかもしれない。鉄板の話芸や古典落語のように、アート・ザ・クラウンというワンイシューの繰り返しだけで点を取っていく超ストロングスタイルのお笑い…もといホラー。第三作も作られるそうなのだけれど、次は4時間でもイケたりして。

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前作の「ギコギコ」ほどアイコニックなKILLはなかった気もするが、即死させず人体を新手の工作のように扱うスタイルや、凶器を地道に自作する(でも言うほど活躍しなかったねアレ)様からは几帳面なものづくり精神を感じることができる。
あと、徹底した顔面・目・末端への執着。本能的に一番壊されたくない嫌悪感を的確に突いてくるよね。これもまた匠の技か。

あと、主人公はじめガールズがみんなかわいく適度にえろくて助かる。でも優勝は謎のクラウンガールだ。役名Pale Little Girlて、他に言うべき特徴山ほどあって草ぞ。

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※1:とはいえ作り手も終了即退席者の多発を予測してなのか、ポスクレ映像を出すタイミングが早すぎて草ぞ。