ベビーパウダー山崎

テリファー 終わらない惨劇のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

2.5
知らない他人を死なない程度に血みどろにして弄ぶ表現が別に好きなわけでもない。人殺しを楽しむというより、与えた苦痛で悦びを得るスラッシャー。被害者のほとんどが女性と子どものため、その行為が虐待に見えたりもする。前作も思ったが、ブッ殺すべきクソは他にいくらでもいるはず。
二時間半弱。このとてつもない長さは、狙われる家族の背景を見せていくためだが、夢やらトラウマなどで手を尽くしている割には、殺人鬼と姉弟のある種のテレパシー的な結びつきが、そこまでうまく描けてはいない。殺人鬼と対峙する女性キャラクターの文脈も弱々しい言い訳としか思えず。
前作より物語を膨らませたぶん、ショッキングな場面を繋げてヤリ逃げするわけにもいかず、「映画」としての期待役割も当然求められるが、その太らせた箇所が女子高生の露出的なコスプレだったり、光る剣だったりと、幼すぎる妄想でしかないのがキツイ。殺人鬼は赤子のように純粋だとしても、その世界を描く作り手は大人であってほしい。
人がどう痛めつけられるかの工夫は前作以上。そのうんざりする長さ含めて気軽に付き合えるホラーではない。すべては作り物なので、過剰な肉体破損だからといって不快になることはないが、社会的な成長が止まっている引き籠もりのオッサンがジャポニカ学習帳に書き殴った欲望のお伽噺みたいな気持ち悪さはある。若い女子を死ぬほどいたぶる異常な想像でエレクトして、猿みたいに抜いていそうなヤバさというか。