インディー系とは思わせない高品質な演出と映像による、バイオレンスを下地にしたヒューマンドラマ。やはり1番の見どころはレインマンやフォレストガンプを意識したであろうキャラを演じた、髙橋雄祐さんですね。
これまで観てきた髙橋雄祐さんの芝居の強みは、個人的に少し苦手な「怪演系」。抑えた演技は少し苦手な印象があり、今作もやはりか。。と思っていたのだけれど、中盤あたりからいい意味で様子が変わってくる。
ほわーっとした表情の裏に含蓄が垣間見え、ドラッグ漬けになっている真司の家を訪ねて水ぶっかけるシーンあたりなんかは、これまでで一番好きな髙橋さんだった。
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ただ、やはりこういった裏稼業系の作品となると「美学をもった、イケイケのピカレスクロマン」か「致し方なく抜け出せない葛藤」を描いて欲しいのが本音。
主人公の真司にはそのどちらもない。過去にトラウマがあるのはわかるのだが、辞めるという選択肢を考える描写がなかったのが惜しい。それがないとズルズル続けているだけに見えてしまい、そもそも悪印象のキャラでしかないので共感を生みづらくなってしまう。
想像して寄り添うことができなくもないが、キャラの性質上、まあそこは作り手がやるべきかなーと思ってしまうのです。
「水分量=ドラッグ漬けか否か」という際どい演出から察するに、けっこうしばらくお薬を辞めれていなかったようですし、あまり反省が見えずに終わったのがなんとも。