真摯に向き合って作られた映画は、結果全てのことを語ることになると思うのだが、まさしく「石がある」がそんな映画だと思う。
語っていることや写っていることは限定的で小さなことだけど、その小さいことを丁寧に写すからこそ、語られない、映されていないフレーム外に存在している他の世界の全てのことを写しているかのように感じた。
実は私はこの映画に結構ハラハラした。
まず死と生の境目としてのモチーフとして使われがちな川を、そんなメタファーを鼻で笑うかのように飛び越えてくる男性がまず面白さは孕まれているけれど、何か均衡を壊してしまう恐ろしい存在の襲来に感じてドキドキしたし、はっきりとものを言えない女性の様子も危なかっしいなあと思った。
最初の車に乗せてもらうところから、見ず知らずの人の車に乗ってしまって大丈夫かなぁと心配になってしまったし、河原でサッカーをするところも転んでしまいそうで。
ガソリンスタンドで寝ることもそうだし、ガソリンスタンドで目が覚めた時、ピチャピチャと音がフレーム外から聞こえた時なんかも、絶対にそこには変質者がいると思った。(そこにいたのが、あんなに可愛い犬で心からよかったと思いました)
でも、その何かで壊れてしまうような怖い世界にいる二人が、それでも最後は希望的 で(僕は希望的だと感じられて)よかった。