矢吹

石があるの矢吹のレビュー・感想・評価

石がある(2022年製作の映画)
3.9
これは、ペースの映画化。
この辺何かありますか?
見るものとか、観光地みたいな。
この辺には、石があります。

小川あんさん。
「彼方のうた」と「天国はまだ遠い」でも見たことがあって、その目の満開っぷりに魅了されまくってきました。ていうか、これ合わせて彼女を3本しか見てないのか。そうか。8本分くらいの引力は食らってるんすよね。
言葉を必要としない重心と目。
体重移動。足取りの強弱。
そこにいるのに、いませんみたいなフリが上手いというか。何だろうな、
サッカーが上手いのも納得なんすよ。
完全にシャドーストライカーっすよ。

子供の遊びは唐突に終わったけど、
大人が遊ぼうとして遊ぶと、
これがまた、終わりが難しいのかもしれない。

なにがしたいんですか?

貸し借り。いただいたものは返す。という感覚がかなり瑞々しく次から次へと目の前を通り過ぎていく。
先に、ありがとうございます!と言われたら、
サッカーに参加せねばならないし、
先に、川をバシャバシャ渡って来られたら、
水切りに参加せねばならないの。

そもそも、わざわざ戻ってきてくれたお爺さんに、車で送って行くよと言われたら、
送ってもらうのも、そうだったかもしれない。
車内の表情。なんか、迷っている。
もちろん、そこでは、見るものがなくなったとか、当てが外れたとか、この後どうする。ぐらいなもんかもしれないけど。
全編通して考えても、
10:0の、はっきりとした決断と自信がある。というよりも、常に8:2とか、6:4ぐらいの判断の配合がずっとある。感じがする。
小川あんさんの魅力の一つだとも思う。

そう考えると、子供とおじいちゃんが、先にあって、
その後に、普通に大人の成人男性が配置される。

そうして、最初は躊躇いながら続けていた水切りから、次第に、サッカーと同じ構造で彼女は遊びに夢中になる。
川の冒険。
迷いながら、行ったり来たりする。
そして、その冒険への1番のきっかけは、やはり、木の棒である。
人間の探検を加速させるのはいつだって、デカい木の棒。なのだ。これはもう仕方がない。説得力のアイテムとして、これ以上ない。めっちゃ羨ましい。

ギョームブラック感のある、少年男性。
バスドヴォス感のある、真夜中の揺蕩い。
この作品の、彼らの決定的な約束は、
肉体が触れ合わないこと。

序盤で、川の流れを逆らうように移動したカメラ。現れた、坊主の兄ちゃん。
終盤で、川の流れに沿って見送るカメラ。流れていく、あの棒。
行く先を見送ることで、来た元に思いも馳せる。
石の形の話をして、1つとして同じ石がないカット。石がある、川がある、木がある。
名前も知らない2人の遊びは、離れて、
それぞれの生活に戻って行く。

この生活に戻る、段階で、1つのバランスがひっくり返る。
確かに、チャコのお散歩も、借りた電気の、お得意の「お返し」だとは思うけど、流石にこの女性、ちょっと変な人じゃねえか。と。思うようになってみると、
むしろ、あの少年すぎる彼の方が、盗み見る生活の中では、ただただ人間としての違和感が少ないかも知れない。
それはさっきまでは、終始、彼がボケで、彼女がツッコミだったからである。というのもデカいとは思っていて。
人は役割が無くなれば。という話。
ツッコミというか、とにかく、小川さんの、
目の前で起きた予想外に対する
え?え?のリアクションがめちゃくちゃいい。

何がしたいんですか?も、彼女はもしかしたら返して欲しかったのかもしれない。

城跡は、仕事で。
東京から来ました。東京に友達いますよ。
迷っちゃって。っていう嘘。
一応動画は撮っていた。
信じるか疑うか、ここで辞めるか。
もう少し、結末を探しに行く。
日記で伝わる、歩く歩く。
散歩当番の名前を知ることはできなかったけど。
彼は探していた。電車の音が行ってしまう。
でも、それは、繋がったってことなのだ。
ちゃんとバレている。
それは互いのペースが交わった証拠。
この、貸し借りは、また誰かにつながるであろう。

例えば、場所への貸し借りも世の中にはあるじゃん。
観光客としての振る舞いや、お金を落とすみたいな感覚、地元の人にはリスペクトを持つとか、同じ酒場で偶然出会った2人でも他所から遊びに来た人よりもその土地に住んでいる人の方がなんか偉い。みたいなのも、土地や場所への貸し借りな気がする。
もちろん、貸し借りなので、すべて逆の力のベクトルもある。人と土地次第で。
ちょっとここまで来て、話が逸れてないフリをするには、また随分な言い訳を拵えなければいけなくなってきたので。やめます。

助監督、清原惟さんって書いてました。
これも、繋がってるってことだ。

矢吹さんの鑑賞した映画

矢吹

矢吹

もっと見る