回想シーンでご飯3杯いける

あしたの少女の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

あしたの少女(2022年製作の映画)
3.8
韓国の大手通信企業の下請けコールセンターに於ける酷な労働条件を描いた実話ベースの作品。

前半はコールセンターで実習生として働く事になった高校生ソヒの視点で、後半はペ・ドゥナが演じる刑事ユジンの視点で描かれるのだが、前半でユジンが登場するのはわずか数秒で、ソヒとの会話は一度も無いというのが凄い。

日本映画だと辛い状況にある高校生と刑事が個人的に信頼関係を築いていく感動物語になってしまいそうな所を、いやいや、2人の立場がどうであれ労働者の人権は当然守られるべきという、韓国らしい社会的なメッセージがしっかり脚本に落とし込まれている点で、とても頼もしく感じる。

2人の接点が無い構成なので、ドラマとしては盛り上がりに欠けそうに思えるのだが、そこはペ・ドゥナの演技力で見事にカバーしている。