まるでATG映画やヌーベルヴァーグ映画みたい。
しかも監督は1992年生まれの新人。
狙った感じは無くてスゴイ新鮮で今日的。
共依存のシングルマザーの母と娘の話。
娘イジョンに「死んでしまえ」と言い実際に娘を車で轢いて怪我をさせる母親スギョン。
スギョンはガサツでデリカシーも無く他人への思いやりのかけらも無い、若作りだけで生きてきた自己中の明らかな毒親。
そんな母親スギョンを幼き時から憎んでるのに30歳を前にしても同じ団地に住み続ける娘イジョン。
屈折しまった愛情なのか、お互い依存しながら生きていくしか出来ない関係なのか。
父親と息子の関係とは明らかに違う。
ハッキリ、男である僕にはよくわかりません。
スギョンは再婚しようとするけど、相手の娘には拒否反応を起こす。
新しい結婚生活で、娘から別れて新たな生活をする事は無理やとスギョン本人が一番わかってる。
イジョンも家出を試みて会社の同僚と一緒に住むけど、依存しようとするイジョンの事を疎まれ、またスギョンのいる団地に帰って来てしまう。
一人では生きる事も出来ない。
母親一人で育てられた恩義があるのか
どうしても母親スギョンからは逃れられない。
傷つきながらも甘え合ってるふたり。
スギョンは赤く髪を染め、赤の下着、赤い車、原色を好み、イギョンは黒、白、グレーの服を着てる。
母親と娘はプラスとマイナスで表と裏でもあるのか、お互いを見捨てる事が出来ないと感じてるのか。
ドンドンと追い詰められも呪縛の様に決して別れられない母スギョンと娘イジョン。
日常の風景を描きながらも終盤から映画は劇的に、しかも静かに動き出す。
突然、スクラップにされ紙屑の様にペシャンコになる赤い車‼️
冬の寒空で、コートの下に付けてた赤の下着だけで街中を歩くスギョンに周りの人が見てはいけない物を見たような視線を送ってる。
ゲリラ撮影なのは明らか。
一人、部屋でリコーダーで覚えたての拙い「ハンガリー舞曲」吹くスギョンの長回し、しかも手持ちカメラが終始揺れ続けてる。
誰がこんなシーンを撮ろうと思うのか。
陳腐な表現やけどホラー映画に比べられない程の怖さがある。
そして、停電の暗闇で溶けたアイスクリームを食べる母スギョンと娘イジョン・・・・
・・・なんか、スゴイもん見たな〜
極めて映画でしか出来ない映画的な表現に身体中がゾワゾワしてしまった・・・
ホンマに後になる程にジワジワくるワ😱
多くの人におススメは出来にくいけど数年後に映画ファンに再評価される映画かも🤡