グローバルな労働搾取構造を問題にして映画を撮る、もちろん間違えていないし大切なことだと思う。その娯楽や文化が世界を変えることもあるかもしれない。ただ、その作り手の志しと作品の質がイコールでないのも当然のことで、あまりに稚拙なホラー描写や、結末に向けて都合が良すぎるキャラクターの言動は「映画」としてまったく評価できない。
監督の前作も見ているが、一発ネタ程度の世界観に己(作り手)が酔いすぎている。オチ(結末)に向けて無理やり物語を展開させている。つまり、映画が下手なんだと思うが、エヴァ・グリーンも病的な役柄だが、それ以前の姿も特別美しく映せていないし、背景ばかり気にしていて、役者を丁寧に扱えていないのが一番の問題。
そもそも「呪術を使うフィリピン人」というキャラクターは文化的ステレオタイプの押し付けではないか。そして、あの自殺も、作り手が物語のためにキャラクターを使い捨てにしたように見えて不快だった。