狂王キシリトールヴィヒ2世

薔薇の名前の狂王キシリトールヴィヒ2世のレビュー・感想・評価

薔薇の名前(1986年製作の映画)
4.8
荒涼とした山々に囲まれそびえ立つ修道院のおどろおどろしいこと。いやに形式的で意味ありげに視線が交わされ男色の気配が漂い笑いが禁じられ稀に見る空気感。閉鎖的で封建的で息の詰まる空間にロンパールマンはむしろ癒しにすら感じる。ロンパールマンの歌素晴らしかったな。
群像をうつすカッティングが先生の鋭い洞察と同化する演出がすごく良くてこまごまとしたショットの挿入が作品世界人物造形を築き上げていってそれを自身の目で体感する感じがすごく好きな映画体験だった。
ミステリーであり冒険譚であり法廷劇であり哲学であり歴史であり人生であり愛であり恋であり。恐れや緊張感も愛欲も苦悩も全部。わくわくするしどきどきするしめちゃくちゃエロいしすごい全部のせ。全部のせ映画にあってあの語りで終わりを迎えるのすごく好きだった。自分の生活からしたら作品は完全に別世界でそうした意味での面白さは大きいけど突き放されることがなかった。
先生の私は正しいという叫びみんながそう思ってるから厄介なのよね。