雑種

カンフースタントマン 龍虎武師の雑種のレビュー・感想・評価

3.5
“NEVER SAY NO!”ってキャッチフレーズの時点でまぁだろうなとは思ってたけど、ゴリゴリのブラック業界暴露ドキュメンタリーだった(言い方)。長年香港映画のお世話になってるくせに表に立つアクションスターにばっかりうつつを抜かしてスタントマンさん達へのリスペクトが足りなかったなと猛省はしたけど、純粋な気持ちで「アツい!カッコいい!」とは思えないくらいには笑って見れないスタントシーンのオンパレードで何度か目を逸らしちゃった…。コンプライアンスガン無視強行撮影とか迷惑でしかないし、監督・武術指導の言うことには絶対服従(断れば干される)という予想以上にハラスメント全開な職場だったんですね…。スタントマンさんたちも割とガチで危険なスタントへの嫌悪感丸出しの口ぶりだったし、スタントマンとしてある程度の地位まで行ってしまうと、転身しようにもまた1から…ってこと考えると保険に入れなくても結局ズルズル…って感じなんだろうな〜。もちろん大前提としてアクションへの愛が無いとあんな命知らずなことやってられないだろうけど、これからの若手スタントマンさん達にはもっと人権に配慮したやり方で盛り上げていって欲しいと切に願う。あと、劇場公開さえしてくれれば金は落とすからもっと香港映画を劇場でかけてくれ〜!!

他のユーザーの感想・評価

春陽

春陽の感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

中国映画が香港映画だった時にスタントマンをしていた方々の回想録と現在の中国映画事情をバクっとまとめた作品。エンドロールでお馴染みのお茶目なNG集を微笑ましく見ていたが、この作品の後は笑ってみれはいかも。

思い出せば、昔ジャッキーチェンの映画でかなりのスタントを見たが、紐などなかった。CGもメジャーではない時代にどうしているのかと思っていたが、最初からなかったか。それは見えないはずだね。そして下に敷いてあるのは段ボールとベッドのマットという…だが、そんな危ないスタントをこぞってやる人がいたのは、やはり人口の多い国だからか、それが高収入だからだったのか、またはやり甲斐か。ただひとつ確実なのは、香港で一番繁盛していたのはガラス屋だったのでは?ガラスを割らないといけない決まりなのかというくらいに割られていた。

サモ・ハン・キンポーのあの体格で、器用に軽快にアクションをこなしているのは本当に凄いと思った。この人に限らずだけど、あのカンフーの殺陣は見応えあるしなんとも芸術的だね。
いいものを観せていただきました😭
ブールスリー氏やジャッキーチェン氏の有名すぎるアクションシーンもスタントマンによるお試しがあってのことかと改めて。主役が死なないように先ずはお試し。で、やっぱり命を落とされた方もいるようで。
サモハン氏を筆頭にスタント最盛期を賑わせたユンワー氏、トンワイ氏、エリックツァン氏など錚々たる面子が揃い貴重なコメントを放ちまくる。有名なカンフー映画の監督は元より主要な出演者が出てくる出てくる。マース氏なんか拝み倒したくなるほど。
現在はCGでカバー出来ることも多くなって、最盛期のような危険なことは減ったかもしれない。だが京劇ベース香港映画の伝統は続いてほしい、歳を重ねたサモハン氏たちの活躍を骨が折れない程度に頑張ってほしいと願わずにはいられない。
めっちゃイビキかいてた人がいたけど静かなドキュメンタリー映画中に勘弁して欲しかったです(>_<)
カンフー映画はジャッキーチェンに始まり、ジェットリーに1番ハマったかも。ジェットリーは(リーリンチェイ)出演作品は全部観るくらい好きでした。最近はカンフー映画が劇場で上映される機会も減った気がして寂しいです。ドニーイエンが出てれば絶対劇場行くのに。ただ、スタントマンの事を考えた事は一度も無かったので、この作品に出会い、改めてスタントマンに対してリスペクトの気持ちでいっぱいです。世の中、日の目を浴びなくても縁の下の力持ち的な人はたくさんいるんですよね。
大切なものは無くなってから気付く事が多過ぎる気がしています。

劇場51本目
この作品で知ったのは、香港に映画が栄えたのは、その昔、日本軍が中国に進軍し、そこに住んでいた人は南に逃げ、その中に京劇の主だった人もいた。京劇は衰退していき、京劇の人たちが映画に進出してきた。 香港映画の歴史に日本が関与しているとは思わなかったです。

ブルース・リーの映像も多く使われ
いかにブルース・リーが
革新的で偉大であったかが紹介され、
ブルース・リー信者の俺も満足しました。

ジャッキー・チェンの映像も
たくさん出てきますが
ジャッキー本人の
インタビュー映像はありませんでした。

古くからのカンフー映画、香港映画ファンの方は心が鷲掴みにされる導入に続き、(ドラゴンロード)(プロジェクトA)等の懐かしのマースが、

駆け出しスタントマン時代に、スタントマン達が仕事を求めて集まっていた集合場所や、ゴールデンハーベスト社の跡地を訪ねながら、

自身の超絶なアクションスタントの日々を、あの人の好さそうな笑顔満載で語っていきます。

中でも(プロジェクトA)のジャッキーの、あの伝説の時計台からの落下シーンの秘話や、(ドラゴンロード)での自身の落下アクションの舞台裏等、

繰り返し鑑賞した伝説の名場面の裏側を、実際の本編映像を見せつつ描いていく、という構成になっていますので、

非常に分かりやすく、まるでアクション映画を観ているようなリズムで、テンポ良くアクションシーンとインタビュー映像が交互に流れるようになっています。

実際に今までにどれだけの無名のスタントマンが怪我したり、下手すれば亡くなったりしてしまったんだろうと思いました。

ちなみにスタントマン。広東語では武师、中国語では武行らしい。視聴中に学びました。
痛そうなドン引きエピソード乱れ打ち。クッション置けないから地面掘ってほぐしといた♪とか焼け石に水蒸気でギョッとした。

スタント=香港の学ない貧困層にとって成りあがる唯一の方法で、求められたアクションが出来なくても、死ぬ危険に満ちていても断れないそうだ。
楽しんでいたはずなのにいつの間にか特権階級から搾取する側に回っていたとはなんとも居心地が悪い想いである。(いや、見るうえで嗜虐心的なものがゼロだったわけではないけども…)意図してない方向から説教されて、カンフーファンとしてはいたたまれない。

「それでも俺たちはスタントに挑むんだ!」の気概が↑で受けたショックを癒すレベルには達しておらず、見終わった後も気まずい。サモハンは昔と変わらないいじめっ子マインドそのままで監督やってんだなぁ。

矢継ぎ早に挿入される大好きな映画群のカットは眼福。
字幕監修・谷垣健治でガッツポーズ!
まさ

まさの感想・評価

3.0
ジャッキー・チェンやサモ・ハン・キンポーの映画では、クレジット中のNG集が痛面白くて夢中で最後まで観ていた記憶があり、制作裏話しが聞けるかと思い映画館に足を運んだ。武術指導という肩書で誇らしげに過去のアクションを語るのは、当時チョイ役で今は薄毛&肥えたオジサンになった懐かしい顔ばかり。それでも今は仕事がなく、別の日雇いのような仕事で食い繋ぐ日々とのこと。。1度でも輝けた京劇出身の彼らはまだマシな方で、スタントマン時代の怪我の後遺症に悩み続けている者も多いとか。観た後はスッキリしない、男達の哀愁漂う乾いた笑顔が目に焼き付いた、なんともやるせないドキュメンタリーだった。

このレビューはネタバレを含みます

映画館で鑑賞。
香港のアクション映画の創成期から現在までを関係者のインタビューと当時の映像で明らかにするドキュメンタリー。
80年代のカンフーアクション映画の現場があまりにも無茶すぎて笑った。最盛期を過ぎて現在まで香港アクション映画は厳しい状況が続いてるけど若手の育成をして後世に繋げようと努力している様子が見れたのが良かった。
kouki

koukiの感想・評価

-
香港映画、特にアクションでの重要な役割を持つスタントマン。その栄枯盛衰は世界中の映画界に影響を及ぼし続けていた。今日まで東洋特有の師匠・弟子の関係で香港アクションは紡がれてきたが、その系譜が絶えそうになっていると。職人芸はどこの世界も後継者不足で、人生と仕事の関係の中での在り方がどこでも問われているんだろう。

ブルース・リー以前と以後で香港アクションが全然違うという話は興味深かったな。
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