ジョン

イヴの総てのジョンのネタバレレビュー・内容・結末

イヴの総て(1950年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

"芸能界の裏側"を描いている意味では、同年に作られた『サンセット大通り』に通じるけど、『サンセット大通り』は若者の視点で過去の栄光にすがる老いの醜さを、本作は大女優やその周囲の視点で野心たっぷりに演劇界をのし上がる若者に対する恐怖を描いており、対称的な感じがした。しかし、こういうしたたかさは芸能界では必要なんかもな。男性社会で生き抜く強さみたいなのをイヴからもマーゴからも感じて、それが良かった。

そして、本作にはもう一つ、女性の社会進出についてのテーマがあるように感じた。女性の若さを重宝する風潮が芸能界にはあると思うから、その僅かな期間の中でチャンスを掴もうとするイヴの心意気を安易に批判はできない。
イヴがマーゴと同じ運命を辿ることを示唆するラストもどこか切ない。女優として歩み出す冒頭から女優としての終わりを予感させるラストまでのこの映画一本が"イヴの総て"という題名というところにさえ皮肉を感じた(イヴは"アダムとイブ"から取っていて女性そのものを指しているという説もあるらしい!)。

色々と凄い演出があって、イヴのスピーチが最初と最後で全く違って見えるのとか、あとラストの無限地獄のような鏡の演出もあっと驚いた。
ジョン

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