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イヴの総てのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

イヴの総て(1950年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

大女優の付き人になる女性の話。

映画の前半は、若い付き人・イブに嫉妬する大女優・マーゴの姿が描かれます。
イブの若くて真面目で謙虚という性格は、オジサン受けはするだろうな~と思いますが、一方でマーゴが大女優にしては器が小さい様にも感じたかな。
まぁ、この辺は夫が年下というコンプレックスだったり、加齢すると仕事が減っていく女優としての焦燥感が混ざり合って、すっかり拗れてしまったのかもしれません。

後半になると、イブがマーゴの代役になったりで、女優として評価され始めます。
この映画が面白いのはここからで、イブに裏の顔がある事が分かってくるんですね。
出自や経歴は全て同情を誘う為の嘘っぱちで、全ては女優として演劇界で成功する為の策略だったと。
前半で清楚なキャラクターと思わせていただけに、ショッキングなものがあったし、ロイドを誘い出して、ほくそ笑む場面なんかはゾクっとするものを感じましたよ。

そんな“イブの総て”を知ってから、冒頭の受賞式に戻る構成も良くて、イブが騙してきた恩人に祝辞を述べるシーンの白々しさったらなかったし、新たなイブの登場を予感させるラストシーンも印象的。
合わせ鏡に映った無数の女子高生の像は、第2…第3…いや、第10…第100のイブへと延々に続いていくかの様でした。

マーゴ役を演じたベティ・デイヴィスは流石の存在感で、後の『何がジェーンに起ったか?』へと続く萌芽を感じたし、個人的にはイブ役のアン・バクスターが印象に残ったかな。
ふてぶてしい表情や低い声質から、フローレンス・ピューを想起させると言いますか、もしもリメイクするならイブ役はピューさんにやって欲しいなと思ったり。
ちなみに、マリリン・モンロー似の女優がいるな~と思ったら、本当に本人でビックリしました。
駆け出しのマリリンが見れるという意味でも、エポックな作品と言えるでしょう。

監督であるマンキーウィッツが自ら手掛けた脚本も素晴らしく、ウィットに富んだ会話には感心させられるばかり。
ちょっと上映時間が長いのが玉に瑕ではありますが、古い映画である事を感じさせない…現代の若い観客が見ても十分に楽しめる作品かなと思います。
それにしても、本作と『サンセット大通り』がアカデミー賞でぶつかったという事で、1951年はとんでもない年だったんですね。
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