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イヴの総てのとぽとぽのレビュー・感想・評価

イヴの総て(1950年製作の映画)
4.0
豪華キャスト共演によるハリウッド黄金時代の総て、クラシックそのものの名作。演劇界のきらびやかさの裏に蔓延る嫉妬の炎、執念、野心、苦悩・葛藤、虚構と写実、運命・偶然・必然、輝き、移り行く盛者必衰の理の如く入れ替わり立ち替わりな演技対決。いがみ合って罵り合って声を荒げるヒステリックさもショック描写としての表面をなぞっているだけではない。当時の時代背景を込みで"女優"という美貌に彩られた生き物・見せ物へと洞察。女の業(ごう・わざ)に何もかも奪われていく剥き出しの欲望。登場人物たちのナレーションも言い合いも素晴らしく作品に誘われる。美しく賢く上品でいて汚れていて洗練されていて、『サンセット大通り』『赤い靴』等といった名作と同じように心酔した表現に賭ける強迫観念にも似た熱く泥沼な想いがフィルムの隅々にまで焼き付いている。あらゆる深淵な真理にリーチしていて、今なお完璧で映画的圧倒的求心力に満ちている。もし多少色褪せていたとしても未だに面白く見入ってしまう。黒澤明監督『羅生門』のように画期的ストーリーテリング。まだ若きマリリン・モンローはかわいいけど、やがて幕は下りる。永遠のものなんてない、歴史は繰り返す。

TOMATOMETER100 AUDIENCE94
Smart, sophisticated, and devastatingly funny, All About Eve is a Hollywood classic that only improves with age.
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