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イヴの総てのRのレビュー・感想・評価

イヴの総て(1950年製作の映画)
4.8
すごいっす!!! めちゃくちゃ面白かった! 終わって思わずスタンディングオベーション! まぁまぁ綺麗ではあるが地味なおばさん顔で、若いけど目立った特徴がなく、背も低い一般人のイブ。彼女はとある舞台劇に通い詰めてるんやけど、ある夜、幸運にも主演の大女優マーゴの楽屋に連れて行ってもらう機会を得る。すると、イブの素直で正直で謙遜な人柄がマーゴに気に入られ、彼女の身の回りの世話をする仕事を任されることに。はじめは、ものすごく細かいところまで気配りの行き届く驚異的なほど有能なお手伝いさんくらいの感じやったのだが、そんだけ気が回るてことは、それだけ細かく計略を巡らすことができるということ、彼女はマーゴを取り囲む劇作家や舞台監督などにこっそり取り入って、マーゴからスターの座を奪おうと目論む計算高いビッチだったのだ!という話。序盤は、良さげな人やけど何か引っかかる感じあるよねー気のせいかなーってとこから、ん?やっぱ何かおかしい…あ、やっぱ企みあったのね、え、別人、え、ヤバ、え、怖、と、何層にもかぶっていた猫を徐々に剥がして、本性を露わにしていく様子を、非人間的と言える不気味さで演じたアンバクスターの演技がすごい。一方、40歳になった大スターのマーゴは老いによる自らの地位の危うさを感じつつも、肥大化したエゴで周囲の人間に当り散らしたりしてたのだが、イブに彼女のものを奪われていくのではないかという不安から、逆に人間らしさや女らしさを取り戻す。ってか、それにすがらなければ全て失ってしまうのではと小さくなっていく。その様子がイブとは対照的で非常に面白い。で、その狭間で、振り回されるもうひとりの女カレン。この人の存在がこれまたとても興味深く、3人の女を通して、ホント、女って裏表の差が激しく、大変な生き物だなーと思わずにはいられなかった。ほんにすごい。けど面白いのは、ふつう男って、こういう女たちに振り回されて痛い目見るか、または気づかぬまま不利益を被る、という哀しい愚かさを持ってるものであると思うのだが、本作に登場する男たちは、みな人間観察に非常に優れた人たちなので、ある程度かき乱されはするものの、よくある悪女モノの映画のように、身を滅ぼすみたいなとこまではいかず、ってか、ちゃんとそれぞれ最終的に自制をきかしてくるのが、おー、さすが👏って思った。一般男性だと完全に狂わされてるよね。古くてそこそこ長い映画なのに、一瞬でも退屈だなと思うシーンがない。会話のテンポもいいし、全てのシーンが感情的に豊かで魅力的、かつ全体のバランスがすごく良い。これはホントに名作ですねー。ちなみに途中ちょい役で出てくるマリリンモンロー、この時はブレイク前らしいけど、すごい存在感。彼女の出てくるシーンだけ異様に画面が明るく見えるの、オレだけではないはず。すごい輝きを発してはるわ。マーゴ演じるベティデイヴィスの独特の存在感は言うまでもなく素晴らしいです。泥臭さがありながら、まったく凡夫な雰囲気がない、まさにout of this world! 今回本作を観たの3回目やけど、いままでで一番楽しめた! 1回目は面白いけどビミョーかなぁ、2回目は、面白いけど普通かなぁ、と思ってたのが、3回目でサイコー!!!ってなった。ちなみに、この度この作品を観たのは、本作と欲望という名の電車に深く関連のある、ある映画を久々に見るための復習として見たのであります。が、是非ともまた見たいと思った!
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