Azuという名のブシェミ夫人

Dr.パルナサスの鏡のAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

Dr.パルナサスの鏡(2009年製作の映画)
3.9
ギリアム作品再見フェス!
第9弾はこちら!

その昔は偉い僧侶であったDr.パルナサスが発明した“イマジナリウム”という鏡。
その鏡を通り抜けた人は、自分の願望を反映した幻想世界を体験できちゃうのです。
怪しげなインチキの匂いをわざとプンプンさせて、パルナサス御一行はハリボテ馬車であちらこちらへ公演行脚。
この馬車、細部にこだわっていて中はちゃんと生活感漂ってるビジュアルがギリアムらしくて好き♡
オルゴールとかバグパイプの音楽が合いそうな謎の公演。
お客さんが踏み入れた鏡の向こうの世界は、まさにギリアムワールド!
これこれ!こういうの大好き♡♡
でもね、もっともっともっっっとハジケて欲しかった!!!
狂いっぷりが物足りなくなっちゃう。
ギリアム中毒者ですから、この程度の軽いヤクじゃトリップできないゼ、みたいな?違うか。
CGって表現の限界を凄く広げてくれるけれど、私はギリアムの“手作り感”がもっと観たかったな。
せっかく1人1人違う世界が創造される設定なのだし、ダイジェスト的でもイイから色んな人の世界が観たい!

全体のストーリーは『ファウスト』を連想させます。
その昔、不死を手に入れる為に悪魔ニックと賭けによる契約を交わしてしまったパルナサス。
悪魔との契約なんてのは大抵ロクなもんじゃないのがお約束。
結果的にパルナサスは大事な一人娘を16歳の誕生日に差し出さないといけない。
でも追いつめられるパルナサスと違って、悪魔は常にゲームを楽しんでいるだけなんですよね。
悪魔ニックもそれはそれは長い人生(?)過ごす中で、絶っっ対ヒマなわけです。
だから彼にとっては、これも単なる余興に過ぎないのでしょうね。
自分が勝つんだとしても終わっちゃうのがつまんないので、パルナサスが万事休すゲーム終了・・・ってなりかけると、ちょいちょいルール変更する辺りなんか、子供たちが遊んでる時に『石の上に乗ってる時はセーフってことにしようぜっっ!』みたいなノリだし。笑
この悪魔役がトム・ウェイツていうのがイイですね~ふふふナイスキャスティング♡

物語中、登場人物たちは『選択』を迫られます。
私たちが生きていく中で、そういう機会は今までもこれからも何度も何度も訪れるでしょう。
どちらが正解不正解、勝ち負けなどと言うのは後から幾らでも何とでも言える。
大切なのは自分の意志と力で選ぶこと。
選ばせること。
きっとそういうことなんだろうな。

そして、撮影中に亡くなって本作が遺作となったヒース・レジャー。
yahooのトップニュースで彼が亡くなった速報を見たときのことを鮮明に覚えています。
え?え?嘘でしょ?って。
あの笑顔がもう見られないなんて、泣けて仕方なかった。
そして、この作品を完成させるために集まった友人達ジュード・ロウ、ジョニー・デップ、コリン・ファレルのエピソードも泣けるし、ヒースの本当の友人達にだけ演じて欲しいって他の俳優の出演を断ったギリアムにも泣ける。(追悼の意を表したラストカットも・・・)
1人の男の役を4人が演じるって普通なら違和感アリアリだけど、この世界観が『見た目が変わる』っていうのを自然にしていて良かったと思う!
安心してヒース、ちゃんと映画は完成したよ!


≪以下、レビューではない戯言≫

このパルナサスの鏡みたいなバーチャルリアリティー的アトラクションが、いつかの未来にもしも実現した暁には是非とも入ってみたい。
そして、自分の世界に他の人も招けたりしたら凄く楽しいですよね。仲間内でお互いの世界を訪問してみたりして。
私の世界に入って頂くお客様たちには、一番大切な事を最初に声を大にしてお知らせするつもりですが

その世界で私はブシェミの嫁です。

重要なのはこれだけです。
この世界ではウェイトレスになって黒スーツを着たブシェミからチップをねだったり、真っ白な服着たブシェミと一緒にお人形で遊んだり、最終的には一緒に灰になってコーヒー缶に入ったり、そんな体験をして頂けます!
是非遊びに来てね(*бωб)☆ ←