千年女優

エルダリー/覚醒の千年女優のレビュー・感想・評価

エルダリー/覚醒(2022年製作の映画)
3.5
猛暑続くマドリード。父と妊娠中の継母と暮らす娘で、最近祖母が飛び降り自殺を遂げて悲しみにくれるナイア。父の意向で伴侶を失った祖父と共に暮らし出すも異常気象で生活が苦しいこともあって義母との仲は険悪と家族の歪みに悩む彼女が、様子のおかしい祖父が起こす騒動が徐々にエスカレートして震撼する様を描いたホラー映画です。

コンビで活動するスペイン人監督で本作が長編映画二作目となるラウル・セレソとフェルナンド・ゴンザレス・ゴメスが脚本から手掛けた2022年公開作品で、様々なジャンル映画を扱うモントリオールのファンタジア国際映画祭で上映されると『プラットフォーム』でも注目されたソリオン・エギレオルの怪演で批評家達からの好評を得ました。

「老人たち」を意味する原題の通り『X』などを彷彿とさせる恐怖の源泉に世代間対立を置く老人ホラーで、高齢化社会と異常気象とを結びつけることで現代性を演出して奥行きを狙います。陰鬱な展開をスローテンポで描くために気が滅入る所はありますが、エギレオルの存在感と予想を上回るスケールへのドライブでのめり込ませる一作です。
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