1954年のファッション界に復帰し、最初のコレクションがパリで大きく叩かれるシーンから始まります。
復帰後のシャネルを描いた作品かと思いきや、幼少期からの回想シーンが9割。途中途中でバッシングにも関わらず2回目のコレクションに向けて、準備する50年代のシャネルのシーンが挟まれるといった感じ。
1981年の白黒の『ココ・シャネル』を現代風にリメイクした伝記ドラマという印象。たしかにカラーだし、こっちの方が受けが良さそうだけど、個人的には1981年の白黒の方が好きだった。大衆向けに"美化"されてる感じが好きになれなかった。
もちろんどちらも脚色はあると思うけど、現代版は気が強くて、プライドが高く、わがままで、男勝りの「ガブリエル・シャネル」という人物像が薄い気がした。
あとは第1回のコレクションに触れるならフランスで叩かれても、アメリカでは大絶賛されたというストーリーも入れて欲しかった。
回想シーンはエチエンヌとボーイの2人の男性との恋愛がメインだったけど、乗り越えられない壁や、葛藤や苦悩がシャネルの表情から伝わってきてよかった。生まれによっていくらバカにされても諦めずに、気高く仕事に励む姿は純粋に尊敬。
そして現代版の方が優れていたのが、彼女がフランスに起こしたファッション革命。従来の伝統に囚われない彼女の目線から描かれた当時の女性の窮屈感。大きく動きにくい帽子を小さくシンプルにし、コルセットが当たり前だったのに、それを外し一人で着れる男性的な服を思いついたり、高級素材が売り切れたら、ジャージーを使ってデザインするなど革命的なアイデアなの数々。そこが一番魅力的だったかな。
とは言え全体を通して言えば、140分というのは尺が長いし、興味がないと少しキツい気もする。
予備知識を必要としない点では、オススメできます。