伏見の剛力

オットーという男の伏見の剛力のレビュー・感想・評価

オットーという男(2022年製作の映画)
3.5
町内一の嫌われ者で孤独のおっさんというキャラ設定はクリントイーストウッドがパッと思い浮かびますがそれプラス自殺志願者という重い役柄オットーをトムハンクスが演じています。

初め町内一の嫌われ者はメンタルが強いはずですから自殺するかなと疑問でしたが蓋を開けると別にディズニーのスクルージおじさんのようなキャラでもなくゴミの分別、違法駐車など見過ごしてもいい他人の行動を正しているだけで他人に嫌われてるだけなんですね。

まあ正義感振りかざすことは正しいことなんでしょうが都会に住んでたら信号無視、優先座席、ラーメンの席などでこんなことしてたらなぶり殺される危険性もありますから住環境に救われてますよね、進撃でミカサが言ってますからねこの世界は残酷だって。

それで何があってオットーは自殺しようとするのか見ものだったんですがいきなり首吊りを始めるわけでおいおいおいもう終わりですか?この映画、早いでしょ自殺するのがと焦ってたらロープを天井に吊り下げるやつが抜けてしまいます。

いや、またあらゆる方法でチャレンジしたら即終了でしょうよこの映画ダメよそんな初っ端から自殺しちゃ過程を観せてくださいよと思いきや窓から引っ越してきた隣人をよそ者と勘違いして私道を使うなと注意しに行きます。

このオットーさん、自殺するのに神経質で思い返せばロープを買うときも値段と長さが合ってない店長を呼べと言ったり電気を止める電話か電話で6日分の料金を払うんだったら6日分は使わせてもらうなどと細かいんですね。

首吊りする周りに新聞を敷いたりショットガンの時はビニールの壁を作ったりハミガキしたり汚れを心配していてこれらの行動は死後の未来にも正義感が働いてしまうんですね。

この神経質さが序盤の自殺の前フリになっていないんでオットーもさぁ死にますかくらいのテンションなんですよ。

シャマランとマークウォールバーグのやつで突然自殺するみたいなまたはデスノートに自殺するって書き込まれたのかと思うほどオットーの心情がイミフなんですよ。

自殺願望が表情を通して伝わらないのはそりゃ他人の考えてることは分かりようがなくしなさそうなひとがするってのも孤独だからなんでしょうが神経質という矛盾に足を引っ張られて容易に感情移入させてくれませんでしたね。

また自殺志願者のくせにオットーさん、ツッコミを入れるタイミング、キレがハンパなく子供たちに本の読み聞かせをするときの演技力も抜群でおまけに神経質でしょ、サイコパスなんじゃねぇのと怖くなってきましたよ。

この映画の凄いところはリアルに自殺しなさそうな人が自殺しようとする人をトムハンクスがサイコパスに演じることにより結局は人とのつがりっしょというありきたりな社会問題をコメディに通して面白く観せてるのが上手いなと思いました。

オットーの心情は分からないと言いましたが序盤から度々奥さんソーニャとの思い出が挟み込まれてここでソーニャの後を追いたいんだとわかるんですが過去回想のソーニャ、全部若くてここが引っかかりました。

ソーニャはグウィネスパルトローとレベッカファーガソンを足したような美女なんですが数ヶ月前に亡くなったのならその数ヶ月前、数年前の回想での老後のソーニャも観たかったですね昔しか思い出せないのかと。

老後の2人のやりとりでオットーの優しさ、神経質さ、夫婦喧嘩や若かりし過去回想であれば神経質の部分や痴話喧嘩にも触れて欲しかったですね、後から生まれた性格の可能性もありますが。

若かりし頃のオットーはトムハンクスの息子が演じてるんですね良かったですね。

近隣住民の毎日大股ウォーキングしてる大柄の男が声と雰囲気がクリプラに似てて印象に残っております。

ようやく劇場鑑賞下ネタスカトロレースから脱却したのか久しぶりに邪念が一切沸き起こることなく観れましたよ。

シャザムはなさそうですがシン仮面ライダーは浜辺美波ちゃんに期待したいと思います。
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