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シモーヌ フランスに最も愛された政治家のsonozyのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

フランスの女性政治家シモーヌ・ヴェイユ(Simone Veil)の壮絶な人生を描く物語。
オリヴィエ・ダアン監督の、『エディット・ピアフ 愛の讃歌』『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』に続く、世紀の女性を描く3部作のラストという位置づけのようです。

老齢となったシモーヌが自伝をまとめるための回想という設定でスタートし、そこから彼女の壮絶すぎる人生が時代を交錯させながら展開します。

建築家の父アンドレの元、仏ニースで生まれたユダヤ系のシモーヌ。
1944年、16歳の時に母イヴォンヌ、姉マドレーヌと共にアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所へ送り込まれる。(父アンドレと兄ジャンは別の場所へ送られ消息不明となる。)
母は収容中に衰弱死してしまうが、シモーヌとマドレーヌはなんとかこの地獄を生き延びる。
※レジスタンスの組織で活動していた次女ドゥニーズも別の収容所へ送られたがユダヤ人であることを隠し通し無事。

こんな壮絶な体験を持つシモーヌがやがて結婚し3人の子供を育てながら、パリ大学で法学・政治学を学び、弁護士を目指すも、優しい夫アントワーヌは女性には無理だと猛反対。さらに家族の悲劇も。。

その後、男性しか就くことのできない職業だった治安判事の資格を得て、厚生大臣、欧州議会議長、国務大臣、憲法評議会議員などを歴任する。

中でも、人工妊娠中絶の合法化(ヴェイユ法)のための法案を議会に提出した際の討論で反対派のオッサンたちからの猛烈な非難を受けながらも最後には可決にこぎつけ、女性解放への道を切り開くシーンや、移民やエイズ患者、刑務所の囚人などの劣悪な環境や彼らの人権のために闘い、不屈の魂で世の中を変えていくその姿に心撃たれます。

シモーヌの40代〜老年期をエルザ・ジルベルスタイン、10代〜30代をレベッカ・マルデールが演じていますがお二人とも素晴らしい。
母イヴォンヌ役のエロディ・ブシェーズ、姉マドレーヌ役のジュディット・シュムラ、そしてシモーヌを支え続けた夫アントワーヌ役(老年期)のオリヴィエ・グルメも。

2013年 86歳まで政界で活躍され、2017年 89歳で亡くなったシモーヌさん。
フランス人に最も敬愛される女性、というのも納得の凄い方を知りました。

予告編
https://youtu.be/BsE6eIDBZcI
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