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お熱いのがお好きのTSのレビュー・感想・評価

お熱いのがお好き(1959年製作の映画)
3.6
【禁酒法時代のアメリカ】76点
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監督:ビリー・ワイルダー
製作国:アメリカ
ジャンル:ドラマ
収録時間:121分
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マリリンモンローの代表作と言っても良いのでしょうか。1929年の禁酒法時代のアメリカを描いたコメディタッチながらもシビアな事情を描いている作品です。1960年代に突入するあたりの作品なのに白黒。これは女装をする二人の男性のことを考慮してとのこと。カラーにすると色々問題があったのでしょうか。

それにしても禁酒法というのは変わった法律です。世界史でも出てくるこの法律はある種のザル法としても認識されています。もともと酒に対する嫌悪感が蔓延していたアメリカでは、大戦が終わってから飲酒反対運動なるものが起き、法律化したとされますがあまりにも曖昧であり、むしろ酒を禁止したことによる治安の悪化もありすぐに廃止された模様。つまり公で酒を販売できない分、マフィアなどの裏組織が強大な力を使いそれらの商品を操ることにより、自ずと治安が悪化してしまうのです。麻薬の実態もこんなものなのでしょう。常習性があるものを法律で禁止してしまうと必ず裏の世界の組織が動いてしまうのです。

ともあれその禁酒法が影響して殺戮事件が発生し、それを目撃していた二人がマフィアから逃れるために女装をするというもの。そこでマリリンモンロー演じるシュガーに出会うのです。しばらくは女性になりきりシュガーと親密な仲になっていきます。マリリンモンローの存在感は抜群であり、実際マリリンモンローの歌も聴けるので尚更良い。女装をした二人はドタバタしているのでかなりコメディタッチではあるのですが、アメリカの暗い部分を映してるようにも思えました。

酒は飲みすぎたら我を失わせ人を淫らな存在にしてしまうため悪いものかもしれませんが、それを禁止してしまうとまた犯罪が増加してしまう。禁酒法というのはよくわからない法律でしたが、そのあたりを証明できた点としては意味のある法律だったのではないでしょうか。
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