千年女優

ソフト/クワイエットの千年女優のレビュー・感想・評価

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)
3.5
ある事件が理由で白人至上主義に傾倒した幼稚園教師で、同じ意見を持つ女性達と「アーリア人団結を目指す娘」を結成して初の会合を開催したエミリー。会合後に偶然出会った因縁のアジア系姉妹と口論に至った彼女達が、悪戯目的で姉妹宅に侵入するも予想外の出来事が相次いで取り返しのつかない事態に陥る様を描いたスリラー映画です。

『ゲット・アウト』『ザ・ハント』ら物議を醸す作風を支持するブラムハウス・プロダクションズがブラジルと中国にルーツを持つ女性監督ベス・デ・アラウージョを登用して制作した作品で、セントラルパークで起きて後にSNSで拡散された白人女性が黒人男性を訴える虚偽の通報をした事件に着想を得た物語が批評家達から評価されました。

現代アメリカの根源的な差別意識を浮彫にしようとする作品で、わずか半日で瞬く間に起こる悲劇をワンショット風に描くことで効用を最大化させます。差別感情の発端が明確に理由があり、そのやや作り込みが過多な作劇が主題をぼかしている感もありますが、情報行き交う現代誰しもが陥りがちな被害者意識の肥大と暴走を捉えた一作です。
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