菩薩

怪物の菩薩のレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
-
うーーーーーーーーーーーーーーーん…。ってのが正直なところ。めっちゃ脚本の映画だってのも分かるしそれが受賞に繋がったのも分かる、クィア・パルム受賞も頷けるし制作側がそれに特化した作品でないとの姿勢を取るのも分かる。ただその姿勢が受賞を受けてクィアネスが「ネタバレ」だって言うクソみたいな受け手の反応を呼び起こしてしまったのも事実で、その辺りを作品の加害性と捉えるべきなのかは分からないし、実際この作品の終盤40分を受けてそれがかなりネガティブに働いてしまう人達が絶対にいる様な気がして怖いってのがどうしてもある。あの教室内での描写や父親の反応は流石に前時代的では?と思いたいが、おそらく日本の現在地はまだそこなのだろう、自分が子供の頃と何一つ変わっていないじゃないか。これは私の思い違いかもしれないが、作中に「ナウシカ」を思わせる描写がある。ナウシカに出てくる王蟲を代表とする生物達も言うなれば「怪物」なのかもしれないが、王蟲には王蟲に課された存在意義がある、それらを怪物たらしめるのは一体誰か、何か、と言う意味合いでその様な演出が入ったと言う事にして良いですか。被害者性を盾にしてしまえば途端に後ろに隠されてしまう加害者性、有害な男性性の伝播、その辺りの姿勢は『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』と共通のものに思えて嬉しかった。こんな日に映画を観ている場合か!と思いつつ、こんな日にこそ観るべき映画であった。にしても凄まじい脚本、そこはやっぱすんげぇと素直に感服し、是枝氏にはやはり子供を撮って欲しいなと思った。作品全体のメッセージとしては非常にポジティブに捉えております。
菩薩

菩薩