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怪物のHKのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

「怪物だ~れだ?」
「ハイ・・・私かも・・・」

最初のパートは田中裕子以下の学校側の対応がもうやり過ぎで、なんだか“世にも奇妙な物語”のワンエピソードでも観ている感じ。
“鼻に接触”のくだりはもはやギャグのよう。
BGMのピアノの旋律は『シャイニング』に使われた“断頭台への行進”に似た不穏なムード。
正直、このパート、私には安藤サクラの上手さだけが逆に浮いてしまっている印象でした。

次のパートは瑛太がもっとサイコっ気のある奴かと思えば、ただのニブイ奴だったのかと思えるのも微妙。
このパートに出てくるのはイヤな奴ばかり。大人も、子供も。
中でも高畑充希と中村獅童はイヤな奴が似合っていて絶品。
是枝監督は、この作品でも血の繫がりというものをあまり信用していないようです。
でも本作はこのあたりからちょっと面白くなってきます。

最期のパートは子供たち二人。
是枝監督はいつも子供たちをイキイキと撮るのが上手い。
そしてどの作品でも主役の子はみんな可愛いく整った顔立ち。
ラスト、台風の夜に母親と担任教師があの廃車の中の二人を見つけられなかったとは考えにくいので、翌朝、別次元にも見える廃車から出てきた二人はやっぱり・・・

しかし、カンヌの脚本賞はいいとして、クィア・パルム賞ってよくわかりませんでしたが、こういうことでしたか。
観て一晩たってようやく頭の整理が少しついてきました。
疑問点はいろいろと残りますが。

私としては、妙に芝居じみてたり、急に自然になったり、ときに嘘っぽかったり、リアルだったり、最終的にはファンタジーともとれるし、妙に不安定な作品に感じました。

アイツは怪物だと言ったヒトが怪物。
HK

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