このレビューはネタバレを含みます
是枝映画は体力と気力を使う。
「男らしく仲直り」「フツーに結婚して幸せに…」
言葉の重さと軽さよ。人の心の卑しさよ。子どもの話のテキトーさよ。大人の会話のゲスさよ。噂話の根拠のなさと拡散度よ。笑顔の裏表よ。親心のむなしさよ。これを最優秀賞に選ばなかった/選べなかった日本アカデミー賞よ。
羅生門じゃないが、人の数だけ事実がある。それは当たり前のことなのかもしれない。くわえて、(前の前の総理大臣みたいな)「〇〇を守る」的な言説にはもっと敏感になったほうがいいのかもしれない。誰が、何から、何を守るの?
田中裕子の怪物感。こんなに笑顔と仏頂面とタバコが似合うのは、彼女か、それこそ樹木希林くらいか。
安藤サクラも、もはや「この役は安藤サクラしかできない」と思わせてしまうほど。こちらも怪物。
子役2人もまた、完璧すぎる。依里の「それっ」みたいな掛け声が可愛すぎて泣ける。あと、完璧といえば、隣の女子よな。
一瞬でも「堀先生ってひどい教師だなー」と思った自分を責めたくなる。そういった意味でも瑛太にアッパレ。冒頭の「誤解です」がホントに誤解だったという皮肉と、田中裕子だけは誤解ではなかったというやるせなさ。
私も人に誤解を与えやすい人間なので、十分注意します。