ピクサー作品の多くは、表面上のモチーフや空想的な舞台設定の中に現実社会の私たちが抱える課題についての問いと解を巧みに組み込んで描出する物語が多いけれど、この物語のメタファーは明らかに異人種間の相互理解、特に移民といわれる人々についてのそれなのだろうと思う。
人は世代を越えて何を継承するのか、もしくはしないのかといった重いテーマも内包されていて、この作品で描かれる結末には心を打たれた。
単純に楽しい物語を観たいのに説教くさいなと感じる人もいそうだけれど、個人的にはそういった重い問題に直面する人々の立場を真剣に考えるいい機会になり、価値のある映画だと感じた。
4種のエレメントが共生する世界という設定がありつつ、主に描かれるのは火と水で、土と風のエレメントの出番がほとんどないところは少し気になったけれど…
ピクサーがほぼどの作品でも何らかCG表現の進化に挑戦しているところも、クリエイター集団としてかっこいいなぁと尊敬の念を抱く。この作品の火と水に関するリアリティとアニメーション的表現の融合レベルの高さには驚いた。
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