杜口

メイド・イン・USAの杜口のレビュー・感想・評価

メイド・イン・USA(1967年製作の映画)
4.0
題名通り、アメリカの消費社会を描き出す作品。

しかし、よくあるモンタージュ使って、消費社会批判をしているわけでもない。
ゴダールもモンタージュ使ってファシズムへの批判したりとかはあるけど、今作は違う。
消費社会を表す広告のポスターとか、アメコミとかが、ドアップで映るものの、前後のショットとの関係は殴られた時はBingと書かれた絵が映るみたいなそっけないもので、消費社会批判にはなってない。

このシーンは殴打という現実が、記号的なBingという字に回収されつつも、映像があるがために、完全に記号に置き換わるわけでもなく。その上で、全てが映画というフィクションに包括される。
そんな感じで、今作は非常に複雑な構造になっているが、これは映像から言葉やら音やらと、映画が現実と虚構の混淆した雑多さをもつことを抉り出すための必然で出来上がってる。


個人的には突如傾いたショット。シアン色の壁に鋭く入り込む真っ赤な車。続いて、殴る音にアメコミのオノマトペがドアップ。
この辺のショット数が格段に増え、映画が動き出す辺りが好き。ここまで、見れば前半眠くても完走できるんじゃないかな。
杜口

杜口