Jun潤

きみの色のJun潤のレビュー・感想・評価

きみの色(2024年製作の映画)
4.0
2024.09.03

山田尚子監督×吉田玲子脚本。
かつて京アニで『けいおん!』という僕の青春の中の傑作と、『聲の形』という感動の傑作を生み出した監督・脚本コンビが、今度は独特な作風のサイエンスSARUでオリジナルのバンド×青春の物語を製作。
これは見逃せない。
主要キャストも声優初挑戦の髙石あかりに加え、意外なところに新垣結衣、そしてベテラン戸田恵子と、ますます見逃せない。

人が「色」で見える女子高生・日暮トツ子。
トツ子は隣のクラスにいる作永きみの発する色の素敵さに魅了される。
しかしきみは間もなく退学し、会えなくなってしまった。
再会を願い奔走していると、街の外れの古本屋でギターの練習をしながらバイトをしているきみを発見、話題作りのために音楽の話をしていると、他校で一つ上の少年・影平ルイに話しかけられ、3人でバンドを組むことに。
離島の古教会で集まり、学校にも友達にも内緒のバンド活動が始まる。

こりゃあ演出が強ぇ。
表情や背景など、アニメ映画を観る上で要注目な箇所はたくさんありますが、今作はそのどちらも高水準な上、その他の部分が高水準というか、独特過ぎて新たな表現って感じでした。

ストーリーとしては、テレビアニメの放送も原作もないオリジナルのアニメーション映画としてはコンパクトにまとまっていた印象。
似た作品の『けいおん!』や『ぼっち・ざ・ろっく!』みたいなゆる日常が描かれるわけではなく、ルイが高校三年生という設定から、憧れの色を見ること、憧れの人といること、憧れた友達と一緒にいることに捧げる、限りある儚い青春の日々が描かれていました。

キャラクターについても、トツ子をはじめとして生き生きとしていますね。
トツ子はアニメのキャラらしくオーバー気味に動いていたのでわかりやすいですが、きみとルイについても細かい表情や仕草、キャラデザなどでアニメらしい造形のキャラクターに仕上がっていました。
それぞれが抱えている事情についても、トツ子は本当にキャラデザから動きからセリフまでザ・純真って感じで、他2人をフォローしても余りあるほど活発で、なおかつ人が「色」で見えるという特異性も持っていることで、主人公らしさもあるキャラだったと思います。
きみとルイについても、高校生らしい悩み、特別な人としか共有できない「好き」と「秘密」を抱えながらも、音楽で自分を表現する様が描かれていました。

山田監督らしく心情描写を丁寧に丁寧に積み重ねられたからこその終盤のライブシーンは、作画こそやはりまだまだトップを譲らぬ作品群がいる中で、特に表情に注目したい方向に仕上がっていましたね。

髙石あかり、声優上手過ぎない……!?
あとやす子はやす子過ぎるて……
Jun潤

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