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ゴジラVSメカゴジラのシネラーのレビュー・感想・評価

ゴジラVSメカゴジラ(1993年製作の映画)
4.5
"世紀末覇王、誕生"
ゴジラ生誕40周年記念作であり、
当初はVSシリーズの完結編として
予定されていた本作を再鑑賞。
個人的にゴジラシリーズで映画として
お薦めするのは『ゴジラ』(1954)や
『シン・ゴジラ』だが、
ゴジラ映画として最も好きなのは本作だ。

物語としては、発見された卵より
孵化したベビーゴジラを巡り、
ゴジラにラドンが日本へと上陸し、
人類側の超兵器メカゴジラとの乱戦を
描くものとなっている。
物語全体として、
怪獣達も地球上で生きている生命の一つ
である事が問題提議されていると思う。
人間ドラマ内で主人公達が
ベビーゴジラに接していく事で、
ゴジラが地球上で孤独な存在であると認識し、
ゴジラを倒す事に疑念をもたらす一方、
国連組織Gフォースはメカゴジラを使用し、
ゴジラ撃滅を指示する展開となっている。
その為、人類から見ればゴジラが悪役、
主人公達からだとメカゴジラが悪役
という風にも捉える事ができ、
その複雑に登場人物の感情が揺れ動く
人間模様が良いと思った。
特撮部分に関しても素晴らしく、
メカゴジラの装備には昔も今も心を奪われる。
そして、そのメカゴジラと対峙した
最終決戦でのゴジラは本当に格好良い。
ラドンも戦いや物語を引き立てる
良い役回りで良かった。
ベビーゴジラと交流する
五条梓(佐野量子)との場面も愛おしく、
最後の部分は本当に物悲しかった。
そして、伊福部昭先生が奏でる
メインテーマやGフォースマーチも
印象的で、本作はどこの部分の音楽を
切り取っても素晴らしいと思う。

怪獣達の存在が物語の主軸にある為、
登場人物やGフォースの説明が大雑把
に感じられ、
前作までに比べると世界観の規模が
小さいと思う部分もあるが、
それらは微々たる不満と言えるだろう。

本作は怪獣バトルだけで満足できる
だけでなく、人間ドラマも良質な内容
となっていたと思う。
単純に怪獣バトルしかしていない
中身のないゴジラ映画ではなく、
地球上の生物としてのゴジラを描いた
傑作だった。
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