垂直落下式サミング

ゴジラVSメカゴジラの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ゴジラVSメカゴジラ(1993年製作の映画)
4.0
今回は対怪獣兵器メカゴジラを作り上げた人類が、それを用いてゴジラに戦いを挑む。怪獣対決を大迫力の伊福部音楽で堪能できる作品だ。
命を守ろうとする生物的なゴジラやラドンに対して、メカゴジラは徹底的に血の通わない無機質な兵器として描かれている。
対決シーンでは、だだっ広い場所で直立して動かないメカゴジラと、攻撃を受けるたびにのたうち回るゴジラという対比がよく利いており、生命は機械に勝てるのか?という対決構図が強調されている。
新生メカゴジラの高級感漂うフォルムは、いかにも最新テクノロジを駆使して作り上げたもの。コンピュータによって合理的に制御されながら製造されたもののようで、ひとつなぎのシルバーメタリックなボディは、鉄板をリベットでなど接合してはいない未来的な造形だ。
ベビーゴジラは所帯じみていて嫌いだが、この頃はまだ小さくて可愛いし、佐野量子とのかけ合いがとても愛らしい。シリーズのヒロイン三枝未希の悩める姿も必見だ。
しかし、どうやらこの作品、古参ファンからは評判が芳しくない。
当時の評価をみると、「VSモスラの成功に味をしめたスタッフが、ゴジラを復刻怪獣とぶつければ当たると勘違いし、最高の怪獣を最悪の形で復活させた駄作」とまで言われていて悲しくなってしまった。
『スターウォーズ』には、プリクウェル世代と呼ばれる世代がいるが、怪獣にも平成ゴジラ世代とか、ガメラ世代とか、ミレニアム世代とか、遅れてきた世代が存在する。(僕は平成モスラ世代の希少種)
やれ子供向けすぎだの、相手役の怪獣に魅力がないだの、ミニチュアがこけおどしだのと、僕たちは東宝チャンピオン祭り世代のガチ勢おじさんたちにいじめられてきた。
大好きなものが嫌われていることを知る悲しさを知っているので、これからのゴジラについては褒めちぎるか黙ってることにする。