このレビューはネタバレを含みます
よかった。最初の火事のシーンでもう既に引き込まれた、まひとが真面目で心根の優しい青年であること、お母さんのことが大好きで、周りが見えなくなるくらい一心不乱に病院に向かっていったこと、火の熱さまで感じるほどリアルに伝わってきたなー。てかジブリってなんかどの作品も風の匂いするのわかる人いない?
どんな意図があってこの題名にしたのかはわからないけど、要はこの世界を恣意的に動かせる力がもらえるとしたら君たちはどう生きるか?と問われているような気がした。
悪意がないものだけで構成された世界は一見完璧に見えるけど、どうせそのうち綻びが来る、悪意も善意も自分の中にあるものとして受け止めて、一瞬一瞬にしがみついて生きていくしかないのかな。
自分もあの世界の中で気持ち悪いくらい真っ白な石を積んで、壊れないように見守るだけの人生なんてつまらないと思っちゃうなー、傷つくとわかってても。
それぞれの時間軸に戻れば大好きな母はいずれ火事で死ぬ未来へと進んでいってしまう、けれどそれが分かっていながらまひとは止めなかった。ここがすごく好きだったなー。
自分が何でも好きなように動かせる世界なら傷つくこともないし、大切な人を失うこともない、けど私たちが生きているのは残酷で理不尽な世界で、一瞬で世界が変わってしまうこともある、だけど、だからこそ日常を強く愛おしいと思うことが出来る。
生きていくことがなにかを失い続けることだとしても、苦しむことの方が多くても、そんな中で幸せを見つけることが出来たなら、それをより一層大事にすることが出来る気がするな〜。