文鳥ロボット2号

死体の人の文鳥ロボット2号のレビュー・感想・評価

死体の人(2022年製作の映画)
4.0
映画のレビューに個人的なことばかり書くのもなんだけど、僕はここ10年近く、正直あまり人生が上手くいっていない。

酷い時は、抗うつ剤と、抗不安薬と、睡眠薬で何とか生き延びているような時期もあった。

幸い仕事「だけ」は上手くいっているので、お金にはそんなに困ってないんだけど、逆に「人生お金に不自由していなくてもどうしようもないこともある」ということを知る羽目になった。

なのでこういう、「人生あまりうまくいってない登場人物が、空回りしつつも色々な人と出会い、最後はちょっとだけ希望の見える」タイプの映画を好んでよく観る。

そしてこういう物語は映画との親和性が高い。

映画みたいにはもちろん都合よくはいかないけど、それでもこの10年近くの間、僕にもそれなりの出会いがあり、そして時として(見方によっては)「映画的なシーン」を人生に刻みながらなんとか生きてきた。

そして僕は思うのだ。

この映画の愛すべき登場人物たちのように、世の中の大抵の人たちは「色々あるけど何とか生きてる人」が大半なんじゃないかと?

そして総合してみれば、そういう人生も概ね悪くないと考えてる人もまた大半なのではないか?とも。

だからこういう映画の名作が数多く作られ、それによって僕たちはほんのちょっと救われる。

このなかなか素晴らしい映画と出会えたことも、僕の「まぁ結果的にはそれほど悪くない人生」の一部なのだろう。

PS1:唐田えりかがなかなか良い。
彼女にしたってここ数年は恐らく「上手くいかないなぁ」と思うことも多々あったんだと思う(想像だけどね)。

でもこんな、小さく、そして愛すべき物語で人の心を打つ演技を続けていけば、きっといいことがあるさ・・・と映画の内容とシンクロしてエールを送ったよ。

PS1:母親の「死に方を見ておけ」という鬼気迫る死に様。
このシーンを見て「そんな人いるか?」と思った若者よ。
母親ってのはね。本当にそういうことするんだよ。
子供のためならいとも簡単に命を削るんだよ。
数年前に母親を亡くした僕は、ここで一番泣いた。

そしてあの母親役が、烏丸せつこさんだとエンドクレジットで知って、腰が抜けるほどビックリした。