2022年のスクリームは正直制作する必要性が感じられなかったので、今作はハードルを下げて視聴。
前作とリンクするオープニングからかなり捻りが加えられていて、マンネリ感を感じさせない新鮮さがきちんとある。
今回の殺人犯はサムに関するSNS上の悪意ある噂を真に受けており、目的やターゲットが予め提示されているところが今までのシリーズと異なる点。
また、劇中のメタ推理によって今回の犯人は前作とは異なる犯人像なのではないかと誘導されるところも犯人当ての楽しみを増幅させてくれるのでスリルもバッチリ。
そして、それ以外にインターネットやアクセス(視聴率)を稼ごうとするメディアによってサムが犯人扱いされてしまうというサブプロットもあり、スクリームシリーズの最新作というだけではない付加価値によって作り手の本気度も伺える。
今回はシドニーらが出てこない分、新キャラやサムとタラの物語に時間をしっかり割けることで脚本として様々なチャレンジができるようになったのだろう。
旧キャラが活躍するシーンの比重が大きかったり、血統を乗り越えられるのか否か、みたいな普遍的ではない物語に比べると今作の方がよりスラッシャー映画らしくなっていると思う。
ただ、ホラー&スラッシャー映画に登場する主人公以外の同性カップルの片方は悲劇のために序盤で死にがち、というお約束は明言されることもなく普通に守られるのでそこは全然インクルーシブじゃない。どうしても殺すならせめてヘイトクライムとして描いてほしかった。
確かに意外性という意味では毎回驚きもあるしある程度感心しなくもないシリーズだけど、これ以上不幸なキャラクターを増やさないためにこれで完結ということでいいよ……。