このユルさ。
シュールさ。
親近感と中毒性。
日本人にしか描けないし分からない雰囲気を醸している映画かと。
アクションシーンの現実味のなさや、イタくてサムいシーンも多く、若干見ていてキツい部分はあるにはあるが、それも込みで楽しめました。
前作同様今作も、若者言葉や流行り言葉が随所に出てきて、もうオッサンに近い自分としては、知らない文化圏に少し触れられて心がリフレッシュされました。
また一時的に流行ったものを映画という形に残しておくことにも尊さを感じるところ。今作も100年後に文化遺産的な魅力を発揮する作品となり得るかもしれないし、いやそれはないかもしれないが、10年後に見返してこの映画の古臭さを楽しむのもアリだなと思った。
でも一方で、テーマ自体は「この競争社会をどう生き抜くか」という普遍的なものを扱っている。
今作で描かれる殺し屋同士の戦いは、殺し屋というポストを巡って行われるもので、それはまさに資本主義社会における格差や競争の中で生きている我々にも通じるところだろう。
どう生きるか。まず金は必要。次はスケジュールだ。どう暮らすかだ。
今作の主演女子二人は休みの日は映画とかライブを見にいく。彼女たちはお金を欲していながらも、そこまでお金に執着しているわけでもない。二人はお金を欲していながらも、お金では買えない大切な時間を過ごしているように見える。
二人は性格も価値観も違うが互いに信頼しきっている。またそんな二人を見てると、生きていけるだけのお金があって、信頼できる友が一人でもいれば、あとはおまけであって、そこまで求めなくてもいいのかなって思える。
一緒に映画見てだべることができる相手がいれば、そんな日々が送れれば、もう何もいらないのかもしれない。二人のゆる〜い日常を見ていると「幸せ」ってこういうことかって思ったりしました。
骨の髄まで奴隷根性が染みついた人はこの映画を見て自分の生活にユルさを取り入れてみることをオススメします。
最後に、この映画の会話シーンについて。
このシリーズは、コンパクトにまとまったカッコ良さ重視のアクションに注目されがちだが、個人的見どころはこの映画で成される会話劇の方だと僕は思っている。
社会不適合者の二人の会話、彼女たちの掛け合いや反応の数々は、癒し効果も抜群に高いしシンプルに面白いもの。
「ビジュ爆発してんじゃん」の連呼。
言葉に感情が伴っていない感じと顔芸が最高でした。
そこからの空虚な「メゾンマルジェラだね」も笑える。