わたP

風の谷のナウシカのわたPのレビュー・感想・評価

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)
4.0
宮崎駿の劇場アニメ第2作、この後にスタジオジブリが作られるわけで、歴史に残るこのヒロインと共に記念碑的な作品となっていると思います。

で、この度小学校以来かスゲー久しぶりに見たんですけど、その理由が宮崎駿をちょっとお勉強しようかなあと思って、漫画版をまとめ買いしたのを読んだんですよね。
漫画版は7巻まで出ていて、先に漫画が描かれたんですけど、途中映画製作に入るということになって、漫画が完結しないままこの映画が作られたそうです。

なので、漫画に登場するキャラがかなり削られていて、というかその時点では登場してないですからね。その分クシャナやペジテの民にその部分が引き継がれています。
僕が漫画版で1番好きなキャラはクシャナなんですけど、映画だと腐海を焼き払う為に風の谷を占領しに来るわけですけど、原作ではトルメキアの権力闘争のせいで、辺境をまとめるために出兵させられてるっていうことになっていて、そもそも漫画ではクシャナは風の谷に手を出さないし、巨神兵も蘇らせない。その代わり、兄たちとの権力闘争っていう穢れた宿命を背負ってそれに立ち向かっていく超カッコいいキャラなんですけど、映画版だと単に兵器によって全てを征服しようとする人物として描かれていますね。まあそれもカッコいいんですけど。

あとペジテ市なんですけど、漫画だとアスベル以外全滅しますからね。
んでトルメキアと争ってるのは土鬼(どるく)っていうまた別の国で、こいつらが腐海や巨神兵を軍事利用しようとするわけですね。つうか土鬼って一発で変換出来たな。

というわけで2時間の尺に収める為に、かなり改編して、とはいえどっちも宮崎駿のものなんで、どっちがどうとか無いんですけどね、自然と人間の共生。破壊と再生、純真と穢れを描いているのですね。
この辺が宮崎駿の一生のテーマのようにも思えて、この映画でいうと、ナウシカとクシャナが対になっていて、自然を愛するナウシカと文明によって支配しようとするクシャナという構図なんですが、力を用いないナウシカの中にも凶暴な面があって、それらは表裏一体なのだと語っているかのようでした。

いやしかし改めて見てみると、娯楽性の高さの裏にある強烈なメッセージやバイオレンスがひしひしと伝わって、描写にしても、オームの群れの突進とか、メーヴェの滑空とか、巨神兵の溶けるところとか、このあとに繋がっていくようなものが見れて満足でした。
なにやら釈迦に説法のような、お前に言われなくても知ってるよと言われそうなことばかり書いてしまったけど、宮崎駿のお勉強はまだまだ続けます。
わたP

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